「台湾ロス」のみなさんへ〈4〉

文・光瀬憲子

 

 海外旅行がままならない今、写真を通して旅行気分を味わっていただくために、新刊『台湾一周!! 途中下車、美味しい旅』(双葉文庫)の取材で撮った写真や動画から何枚かをピックアップ。今回は台湾の東側、花蓮から台東へのルートを振り返ってみたい。

 

 

 東台湾は西側に比べると圧倒的に人口も旅行者も少ないが、新しい発見や人々の優しさに触れる機会が多い。鳳林は客家が多く暮らす町で、彼らの文化の象徴でもある台湾花布が駅構内にあつらえてあるのが印象的だ。 月台(プラットホーム)には小学校にあるような小さな木の椅子が並べられていた。

 

 

 日本時代の台湾でもこんな椅子が使われていたのかもしれない。駅前で、日本語を流暢にあやつるおじいさんに出会った。80代だろうか。お土産店の店主らしき彼は、「この駅で降りる日本人は珍しい」と目を細める。数年前、台湾全土で日本語を話す台湾人にインタビューをして、日本人の印象や日本との思い出を聞いたことがある。

 世代によってその体験談はさまざまだが、いまこうして台湾を訪れる私たちもまた、彼らの記憶の一部となって残る。台湾の人たちの温かなおもてなしに恥じない日本人でありたい。気恥ずかしくなりながら、いつもそう思うのだ。

 

■赤ん坊と臭豆腐 

 外食率8割以上とも言われる台湾では、小さい子を連れた一家の外食風景をよく目にする。これは鳳林駅から歩いて10分足らずのところにある臭豆腐の店。朝10時からニラ山盛りの臭豆腐を食べるのが鳳林流だ。

 台湾の子供たちは最初からスパイシーなものを食べられるわけではないが、こうして小さい頃から少しずつ慣らしていく。



 思えば私の娘も4歳までは台湾や上海に暮らしていた。2歳に満たないうちから台湾屋台デビューし、臭豆腐も滷味も好んで食べていた。日本では「おふくろの味」が故郷の味というイメージだが、台湾人にとっては「屋台の味」が故郷を思い出す味なのかもしれない。