沖縄の太陽に焼かれたあとはやはり、ビール。ゴクゴクとやってから、プハ~とやって、おしぼりをたたんだ上にジョッキやコップを置く。これは沖縄の流儀。最近ではいわゆる「センペロ」が流行っていて─この原稿を書いているときは緊急自体宣言中だから、酒は飲めないけど─いろいろな店がツマミを競っている。けっこうこのツマミに工夫を凝らしているところもあれば、テキトーなところもあって、客としては店選びの大事な基準になる。

 ぼくは、まだ、お目にかかったことがなく、どこかやってくれないかなあとひそかに夢見ている「センベロ」がある。それは、ツマミは、島豆腐だけというセンペロだ。沖縄の豆腐はにがりに海水を使っているのが特徴なのだが、だから、かすかにしょっぱいし、独特の苦みがある。そして固い。それでもって一丁のサイズがでかい。レンガぐらいある。県外の豆腐とはあきらかに別ものなのだ。「アチコーコー豆腐」といって、できたてのほのあたたかい豆腐をスーパーなどで買うこともできるから─朝から夕刻にかけて数回のみ─これがあると、もっといい。名付けて島豆腐センベロ。これをぼくは待ち焦がれているのだ。

 これを最初は薬味や醤油などをつけずに、箸で大きめに割り、口に放り込む。ほのかな香ばしさが口中に広がる。ほどよい歯ごたえ。ああ、至福。これをビールで流し込む。相性、ばっちり。次にちょっと醤油を垂らす。何回か九州の甘い醤油を試してみたが、おいしかった。それからさきにお好みで刻んで水にさらしたネギや、ミョウガ、刻んだ大葉、鰹節、すりおろした生姜など、味変を楽しむ。夏のツマミを聞かれたら、ぼくは何を差し置いても、島豆腐に限る。

 食品メーカーが大量に作るものから、個人商店が手作りでつくるものまでバリエーションも広い。ある沖縄料理研究家から、その方のつくる絶品の「豆腐よう(島豆腐をチーズ状になるまで発酵させたもの)」のために使う豆腐屋さんを教えてもらい食べてみたが、絶品の美味さだった。が、そこはぼくの沖縄生活エリアからはちょっと遠く、スーパーにおろしてもいないので、めったに食べられないのが残念。ぼくはビールの次は泡盛や芋焼酎を飲んでいくが、それらの酒のお供も島豆腐なのだ。