文と写真・山田静

 

■不安しかない庭の世話

 翌日からが、不安の日々のはじまりだった。

 休館でお客がいないとか、もちろん庭には関係ない。むしろ植えたばかりで植物の状態は不安定なはず。マネージャー陣で休館中の水やり当番を決めたはいいが、 

「どれくらい水をやればいいですか?」

 と、聞かれても、私も知らない。

「最初は多めに。そのうち、庭を見るだけで、ああ、水を欲しがってるな、と分かるようになります」と館長は言い残していったが、多めってどれくらいだ。料理初心者に「塩少々で味を調えてください」といっても正解が見えず不安だろうが、それと同じ気分である。

 ともかく、このきれいな庭を守らねば。

 コケ、なんか枯れてきてないか。

 もみじの枝がだらーんとしてないか。この枝だけ、葉っぱがほら、しおれてないか。この木、もうダメでは。

 見るたびに気が気ではない。

 びっくりしたのはセンリョウの葉っぱが次々と茶色くなり、ばさばさっと落ちたこと。5月半ばのことだ。

 慌てて聴風館に電話して、見にきていただく。

「植えたばかりだと落ち着かないんです」

 大丈夫です、と手入れしていただく。館長も来てくださり、お土産のお茶菓子「真盛豆」をいただきながら、水の量や手入れについてアドバイスを受けた。

「水はもうちょっとあげてもいいかもしれんですが、でも大丈夫です。大事にしてくださっているのが伝わってきます」

 いやそれほどでも……(←水が足りぬと言われているのに後半しか聞いてない)。

次々と枯れ落ちたセンリョウの葉。もうだめだー、と一時は絶望したが、その後次々と枝が生え新芽が出て、あっという間にもっさもさになった
豊臣秀吉が北野大茶会で食べたという由緒ある「真盛豆」。丹波黒豆にきな粉を重ね青海苔で覆った三層構造のお茶菓子だ。館長は師匠から「味にも景色がある。ゆっくり味わえば分かる。口の中で変化を味わうのだ」と、これで寸庭の心を教わったそう。材料を混ぜてお団子にすれば簡単なものをわざわざ三層にした心を味わうべし、ってことのよう。小さなお菓子に詰め込まれた奥深い世界だ。なるほどなるほど、と言いながら美味しくて一瞬で完食