なんだかんだで夏を迎え、少しずつだが開館日が増えてくると庭の美観を保つのも重要な作業だ。

 が、「庭に行って来て」と言われただけでスタッフみんな大騒ぎである。虫除けスプレー、ビニール手袋、ゴミ袋、園芸ばさみを手に「頑張って!」と全員で励まして送り出す。雑草にも虫にも触れずに育った都会っ子たちにはコケに触るのもびくびくものだ。

 梅雨の長雨でコケが青々してきて、「庭」っぽくなってきたのを眺めながら「この庭は金になるからちゃんと手入れを……」とつぶやいていたらスタッフに引かれてしまった。いやほら、きれいな庭があるとその場も高そうに見えるじゃないですか。

 だんだん慣れてはきたものの、その後も心配事があると即、聴風館に電話。紅葉の季節を前に手入れに来ていただいたとき、前から気になっていた、1本だけ葉が大きいもみじのことを聞いてみた。

「これはタカオモミジ(イロハモミジ)なんですが、不思議なもんで、先祖返りするようなことがあるんです」

 土が慣れないとか、水が足りないとか、しっかり根付くまでの生存本能かもしれない、という。

 ええっ。そんなに大変な思いをさせていたか。ますます大事にしないとだ(ちなみに紅葉のあと葉が落ち、また出てきた新しい葉はふつうサイズだった)。

季節が移ると咲く花も移り変わる。夏はキキョウと、百合も咲いた。「百合まで植えていただいて」とお礼を言うと、「あれはタイワンユリゆうて、どっからか種が飛んできたやつです」だって