文・写真/田島麻美

 

 昨今、イタリアでも地ビールの人気が徐々に高まってきているが、夏の避暑地のテーブルではまだまだ白ワインの方が圧倒的に好まれている。バカンスで海辺の街に滞在する人たちが楽しみにしているのが、美しい海を眺めながら味わうキリッと冷えた一杯の白ワイン。冷たい喉越しと爽やかなフルーツの香りが、目の前の爽快な風景とともに心からの開放感を味わわせてくれる。

 

シチリア島やアマルフィ海岸をはじめ、青い海の絶景が広がるビーチが各地に点在しているイタリア。暑い夏だからこそ、キリッと冷えた白ワインの美味しさも倍増する。

 夏の海のバカンス地のお楽しみは、なんといっても新鮮なシーフードだろう。シチリア島やプーリア、カラブリア州など、南イタリアへ行くと必ず食べたくなるのが「タコ」。もちろん他の地域でもタコは食べられるのだが、イタリアのタコは日本のそれと比べるととても小さくて身が固い。それに対し、南イタリアのタコは比較的サイズも大きくて柔らかく、日本のタコを食べ慣れた私にもしっかり「タコ食べた!」という満足感を与えてくれる。タコは軽くグリルしたり、茹で上げてセロリやポテトと和えてサラダにするのが一般的。特にオリーブオイルやレモン、バルサミコ酢などをささっと振りかけていただくタコのグリルは絶品である。

 

シチリア島の海辺の街で食べたタコとナスのグリル。爽やかなバルサミコ酢と香ばしい焼き立てのタコの風味が絶妙な美味しさを生み出す。

 イタリアの海の味覚はまだまだたくさんある。地中海、アドリア海、イオニア海、ティレニア海、どこの海辺でも必ず見つかる定番のイタリア料理といえば、シーフードのフライと魚介のパスタだろう。特に手長エビのパスタとアサリやムール貝がたっぷり入ったパスタ・ペスカトーレ(漁師風)は万人に愛されているメニューと言っていい。どちらも潮の旨味が凝縮したソースにシコシコしたアルデンテのパスタがよく合い、白ワインがぐいぐい進む。一方、ワインをメインにおつまみとして合わせるなら、ミックスシーフードのフライが最適だろう。イカ、エビ、小魚などをカリカリに揚げたフライは、さっぱりとした白ワインとの相性も抜群。調味料は海水の塩味だけ、というシンプルさで、魚介そのものの美味しさが際立つ一品だ。イタリアの海へ行ったら地元で作られた白ワインを探して、レストランではそのワインに合うシーフードをお任せで頼んでみるのも一興。間違いなく満足できる美味しさに出会えるはずだ。

 

ナポリ近郊の海辺で食べた手長エビのパスタ。エビの旨味たっぷりのソースにアルデンテの手打ちパスタが絶妙にマッチ。海の幸という言葉がぴったりの美味しさ。
イタリアの海の味といえば、このミックスシーフード・フライ。余分な調味料は一切使わず、潮の香りと素材の美味しさを堪能できる。冷たい辛口の白ワイン、フルーティな白ワイン、あるいはビールなど、どんな飲み物と合わせても美味しい夏のテッパンの一皿。