古き良き時代の農民の一日を忠実に再現

 小さな広場をぐるっと一周した後、パレードの一行はそのまま広場にとどまって見物客たちと自由気ままなおしゃべりを始めた。と同時に、農民たちはそれぞれ携えてきた道具を広げ、広場に腰を下ろして作業を始めた。藁を打ってカゴを編む人、火を焚き起こして農耕具の刃物を金槌で叩く鍛冶屋、羊毛を紡いで編み物をするおばあちゃんたち。広場に座って黙々と作業する農民たちは、本職であると同時に役者の役割も果たしていて、村は一瞬のうちにそっくりそのまま70年前にタイムスリップしたような雰囲気に包まれた。

 

二日間に渡り、それぞれの農家が代々受け継いできた手作業の技術を披露。村おこしのイベントであると同時に、地域の伝統と技術を守り、次世代へ受け継いで行くための貴重な体験場ともなっている。

 

  かつてのこの地域の農民たちの作業を史実に忠実に再現したデモンストレーションに混じって見物客の笑いを誘っていたのが、女装したいかつい顔のおじさんや金髪の三つ編みのカツラをつけた日焼けしたおじいさん、そして農民たちの強烈なジョークの対象である気取った農場主夫妻といった「俳優」たち。実際の作業を興味深く覗き込む私たち見物客の中にそれらの俳優たちが混じって、冷やかしや軽い口喧嘩を方言で交わし合い、みんなの爆笑を誘うという心憎い演出である。当然ながら、この俳優たちも普段は畑で働いている農家の人たち。誰も彼も役になりきってタイムスリップを楽しんでいる。作業が一段落する頃には、昔の農民たちが食べていた朝食が用意され、集まった見物客にも振る舞われた。農家のマンマたちが手作りで用意してくれた焼き菓子や手切りのプロシュット、野菜を煮込んだトマトソースをのせた「パーネ・ウント」というパン、そして白ワイン。愛情たっぷりの素朴な料理はどれもこれもほっぺたが落ちるような美味しさだった。

 

早朝の畑仕事の後に農民たちが食べていたメニューを再現。朝食ながら、プロシュットや白ワイン、甘い焼き菓子などカロリーたっぷりのラインナップ。