文と写真/田島麻美

 

猛暑のローマで悶々とパソコンに向かっていると、心も身体もぐったりしてくる。窓から外を見れば、いつもいっぱいの広場の駐車場は空っぽ、近隣の家々もひっそりしている。皆早々にバカンスに出かけたか、どこかのビーチで寝そべっているに違いない。なんだかとっても寂しい。私も、ちょっとでもいいから夏の海のバカンス気分を味わいたい!という欲求がムラムラと湧き上がってきた。思い立ったら即行動!「キレイな海を見ながら冷たい白ワインを飲んで美味しいシーフードを食べる」という私のプランに便乗してくれた友人と2人、ローマから各駅電車で1時間のところにあるサンタ・セヴェーラへやってきた。

 

中世時代の面影が残る無人の旧市街

 サンタ・セヴェーラの無人駅には、予想外に大勢の人々が降り立った。大半は海へ行くらしい軽装の若者カップルで、土埃が舞う駅前広場から伸びた一本道をずんずん歩いていく。彼らの後に着いていくと、国道1号線のアウレリア街道に出た。車が行き交う道を用心深く渡り、ようやく見えた「Castello(カステッロ=城)」の看板に従って、松並木の道を進む。周囲を野原で囲まれた道は田舎町の雰囲気そのもので、ローマからたった1時間とは思えないのどかさである。

 松並木が途切れたところで、中世時代の城壁にぶち当たった。門をくぐって中に入ると、まるで映画のセットのような可愛らしい村があった。中世の建物がそっくりそのまま残った保存状態の良い村だが、観光客を除けば人の気配はほとんどない。本当に映画のセットの中にいるような気がしてきた。この村の唯一の名所である「サンタ・セヴェーラ城」のチケット売り場に住民らしき女性がいたので、情報収集を兼ねて話しかけてみた。女性の話では、村の見学スポットはサンタ・セヴェーラ城の他にピルジ古代博物館、古代海洋博物館などがあり、8ユーロの共通券で全て入場できるらしい。とはいえ、ここまで来た一番の目的は「海辺で食べるシーフード」だったので、「美味しいレストラン、知りません?」と尋ねてみると、「ビーチ沿いにいっぱいあるわよ」とのことだった。では、まずはレストランで腹ごしらえをしてからお城見学に戻って来ますね、と言ってお姉さんに別れを告げ、早速お店探しにビーチへと向かった。

 

アウレリア街道を渡ると見えてくる松並木の道。突き当たりにサンタ・セヴェーラの中世の村がある(上)。村の情報センターとしても機能しているお城のチケット売り場には、お土産売り場も揃えたブックショップもある(中)。映画のセットに紛れ込んだような錯覚に陥る無人の村(下)。