職人通りで念願のオーダーバッグを作る

 見どころ満載のオルヴィエートだが、観光スポットをスルーして私が向かったのは「職人通り」と呼ばれているVia Magoni/マゴーニ通り。ドゥオーモ広場からすぐの小さな通りには、陶器や布製品、オリーヴの木の工芸品、革製品などの工房が集まっている。通り全体の雰囲気もとてもアーティスティックで、立ち止まって写真を撮るツーリストがたくさんいた。個性的な木の看板がかかったトンネルをくぐって通りに足を踏み入れる。奥へ奥へと進みながら、一軒ずつ工房を覗いては、職人さん達と気のおけないおしゃべりを楽しむ。平日の午前中でのんびりしていたせいか、職人さん達も作業の手を止めて気さくにおしゃべりに付き合ってくれた。

 

 さて、今回のオルヴィエート訪問で私が密かに目論んでいたのが、「オーダーバッグを作る」こと。子どもの頃からなぜか「袋物」に目がなく、バッグやリュックに自分でも「異常かも」と思うほど愛着を持っている私だが、自分用にカスタマイズしたバッグというのはこれまで手にしたことがない。せっかく革製品の本場イタリアにいるのだから一度は作ってみたい、と思ってはいたのだが、フィレンツェの老舗工房などはとても高くて手が出ないと諦めていたのだ。オルヴィエートにも小さな革製品の工房があると知った時、とにかく一度行って見てみようという気になった。

 

職人達の工房兼ショップが集まるVia Magoni/マゴー二通り(上)。陶器、布製品、革製品などの実演も見られる(中上)。雰囲気のある小さな通りの両脇に、カラフルな手工芸品が並ぶ(中下)。郷土の伝統的な布製品を扱う店『Le Chic Di Silvia(レ・シック・ディ・シルヴィア)』の店主ルチアーノさんと世間話に花が咲いた(下)。

 

 職人通りの奥まで歩いていくと、『Arte del cuoio(アルテ・デル・クオイオ)』という革製品の工房が見えた。中を覗くと、あるある、私好みのシンプルでカラフルなバッグがてんこ盛り! 一気にテンションが上がり、目を皿のようにして店内をくまなく見回す。その中で一点、パソコン用に丁度良さそうなショルダーバッグが目に留まった。革も柔らかくて軽く、ポイントに付いている外側のポケットもさりげなくおしゃれ。私が求めていたのはまさにこういうバッグなのだが、欲を言えばもう少し横長で縦は短め、ショルダーのハンドルも脇にぴったりフィットする長さがいい。思い切って「このバッグをモデルに、カスタマイズしてもらえるか?」と尋ねたところ、店のお兄さんは「もちろんですよ」と即答してくれた。恐る恐るお値段を尋ねると、店頭に並んでいるバッグと同じ値段でいいという。100ユーロ程度で自分だけのオリジナルバッグが作れるなんて思ってもみなかった私は小躍りした。早速メジャーを持ってきてもらい、自分の体にフィットする大きさを計ってバッグのサイズを決定。「革のタイプと色はどうします?」と聞かれたが、店内のストックには生憎私が欲しいタイプがない。どうしようかと悩んでいたら、お兄さんが、「明日フィレンツェに仕入れに行くので、希望のものを探して来ますよ。どんな革がいいか、希望を教えて下さい」と言ってくれた。お言葉に甘えて希望する革のタイプ、軽さ、色を伝え、出来上がったバッグはローマへ郵送してもらうことにした。通常2〜3日あれば出来上がるそうで、「オルヴィエートのホテルにご滞在でしたらお届けしますよ」とのことだった。イタリアへ来た時からずっと欲しいと願っていた私だけのオーダーバッグ。手元に届くのを楽しみに待つことにし、ウキウキ気分で店を後にした。

 

革製品の工房「Arte del Cuoio(アルテ・デル・クオイオ)」。先代の職人さんから工房を引き継いだのは、マリアさんとディミトリーさんの若い姉弟。カラフルでシンプル、かつおしゃれな革製品が手頃な値段で見つかる(上)。店内の工房には、素材のストックもたくさん(中上)。染色から全て手作業で行っている、と説明してくれたディミトリーさん。パートナーのマリアさんと二人で製作を続けている(中下)。縫い合わせを待つパーツ達。時間さえあればフルオーダーもできるが、シンプルなバッグなら通常2〜3日で完成するという。オルヴィエートに滞在するか、引き取りに行けるようならぜひオーダーしてみて欲しい(下)。