マッターホルンの勇姿を望むビギナー向けお散歩コース

 アルプスの村々の宿や飲食店など、観光業に携わる人々にとっては厳しいバカンス・シーズンとなってしまったが、宿のご主人の言葉通り自然環境が劇的に改善したことははっきり見て取れた。人も少ない登山道で、二度と体験できないであろう「マッターホルン独占状態」の山歩きを体験しつつ、ここへ至るまでの経緯が走馬灯のように頭をよぎり、なんとも言葉にできない感慨を味わった。唯一残念だったのは、私自身のトレーニング不足によって長時間トレッキングができなかったことだが、代わりにモンテ・ローザ同様、気楽に歩ける絶景コースを発見することができた。ビギナーでも楽しく歩けるとっておきのマッターホルンお散歩コースを2つご紹介しよう。

 

 一つ目はヴァルトゥルナンシュからケーブルカーで標高2245mのラ・サレッテ/ La Saletteまで上り、そこから「マッターホルンの大バルコニー」と呼ばれるトレッキングコース107を歩いて標高2105mのシェニール/ Cheneilへと向かうルート。ケーブルカーで一気に高地へ登った後は、爽やかなアルプスの風に吹かれながら緩やかな下りを2時間ほど歩けば良いので、アップダウンが苦手な人でも苦にならないはずだ。背後にはマッターホルン山頂がそびえ、右手にはトゥルナンシェ渓谷の素晴らしい大パノラマが広がるコースはアルプスの雄大さを体感できる。爽快なトレッキングを楽しんでゴール地点のシェニールに着いたら、もう一つのお楽しみが待っている。山小屋兼レストラン『Hotel Panorama Al Bich/ホテル・パノラマ・アル・ビック』のテラス席で、マッターホルンを眺めながらアルプスの伝統料理に舌鼓という贅沢なランチタイムは、山歩きとともに忘れられない思い出になるだろう。シェニールからヴァルトゥルナンシュ村へは有料シャトルバス(1€)で戻ることもできるが、余裕があれば食後の散歩代わりに歩いてもいい。約1時間ちょっとの下りでヴァルトゥルナンシュの村に着く。

 

ケーブルカーでラ・サレッテまで一気に登ると、トレッキングコース107の標識が現れる。背後にマッターホルン、右手に渓谷のパノラマを眺めながら爽快なハイキングが楽しめるルートだ。時折、放牧動物たちや草原から顔を出す野生のマーモットなどにも遭遇する。
コースのゴール地点シェニールにある山小屋兼レストラン「ホテル・パノラマ・アル・ビック」。テラス席からはマッターホルンと周囲の山脈が見渡せる。ランチで食べた「サフランのリゾット鹿肉のラグー添え」は一皿で大満足の美味しさだった。