トレッキングブームと新しい水着ファッション

 国内の移動が自由になってから2日後、ダメもとで予約していた夏のバカンス先の宿から「予約OKです!!」と嬉しそうなコンファームが届いた。私と相棒はもう何年も続けて夏はアルプスの山奥で過ごしているのだが、北イタリアの感染状況を見ながら、今年はアルプス登山も諦めるしかないかと思っていた。アルプス山中には小さな村が多く、夏の登山客、冬のスキー客だけで維持している宿がほとんどだ。知らせを受けてホッとした私と相棒は、早速現地情報を仕入れにアルピニストが集う近所の山岳用品店を訪れた。久しぶりに会う店主とスタッフは皆元気そうで、お店もクローズすることなく再開できてまずは一安心。「山の状況はどうなってる?」と尋ねると、店主は「大丈夫、登山道は再開したよ」と笑顔を見せた。「アルプスは広いし、山の空気は澄んでいるから逆にトレッキングがブームになっているらしいよ。でも人気のビーチのように混み合うことはないから安心していいよ。ただ、山小屋はどこもピンチみたいだ。もともと狭いところに大勢が寝泊まりする場所だからね。ランチやバールで休憩するぐらいはできると思うけど、山小屋に一泊するルートは今年は諦めた方がいいかもしれない」と教えてくれた。
 他方、海辺のバカンス地ではビーチで対人距離を保つためのさまざまな工夫を凝らしているようだ。いわゆる「海の家」のようなビーチを管理している施設では、パラソルとデッキチェアの間隔を広げたり、隣り合ったパラソルの間に仕切りを設置したりと、バカンス客の受け入れ準備に大忙しだ。海が大好きなイタリア人にとって、夏に海に行けないことほど寂しいものはないだろうが、かといって大混雑のビーチに出かけるのも怖い気がする。そんな利用客の心情を察してビーチの滞在を予約制にするという施設も出てきた。海好きの女性たちは毎年5〜6月には新作の水着を物色し始めるのが常だが、今年はセールが早く始まっているため購入できる水着の選択肢もグッと広がっている。さらに、今年の新たなトレンドとして「水着とマスクのコーディネイト」も登場した。同じ素材と柄でビキニとマスクをそろえるというニューファッションは今夏のビーチを席巻しそうだ。困難な状況であっても楽しむことだけは決して諦めないイタリア人だからこそ、今年は海でも山でも趣向を凝らしたバカンスが繰り広げられるに違いない。

 

密集を避け、新鮮な空気をたっぷり吸い込める山のトレッキングがブームになっている(上)。ビキニとマスクをコーディネイトした新しいビーチファッションが登場。今夏注目のトレンドとなっている(下/ 写真出典:capitalfm.com)