■米より麺

 中華料理の主食は米か麺。中華圏の北部は粉ものをよく食べ、南部は米をよく食べると言われるが、台湾では白米より麺の存在感があるように見える。さらに言えば、小麦粉ではなく、米粉(こめこ)で作った麺をよく食べる。そう、米粉(ビーフン)である。

 ビーフンというと、いろいろな具材を使って炒めあげる「焼きビーフン」が頭に浮かぶが、台湾人がこよなく愛するのは真っ白な米粉湯(ビーフンスープ)。あっさりとした塩味のスープに、米粉で作られたビーフンが入っているが、太さや硬さは店によってさまざまだ。

 台湾では朝昼夜3食とも外食をする人が少なくない。そして、魯肉飯や鶏の唐揚げに代表される台湾の肉料理を見ると、「台湾人って肉ばかり食べてるの?」と思いがちだが、実は胃腸に優しいものを選んだり、バランスのいい食事を摂ったりしている。1日の最初の食事に胃に優しいお粥を選ぶ人も多いのもそのためだが、温かいスープに入ったビーフンも朝ごはんとして人気がある。

 スープは豚骨と塩だけのあっさりとした味。そこにネギやセロリなどの薬味を散らす。朝市などに出かけてみると、たいてい路上や市場の片すみにビーフン屋台がある。炒めた野菜やスライスした豚バラ肉などのサイドメニューがプラスされると、ビーフンの淡白さがぐっと引き立つ。

 ビーフン屋台でよく見られるサイドメニューが「黒白切(ヘイバイチエ)」と呼ばれる豚モツ煮だ。日本では酒のつまみとして出されることが多いが、台湾では立派な朝ごはんのおかず。サッと湯がいただけの新鮮なレバーや小腸などを千切りのショウガと甘辛い醤油ダレで食べる。台湾人にとってビーフンと黒白切の組み合わせは、お粥に梅干し、白米にアジの開き、といった和定食とちょっと似ている。

 

台北市内の市場の朝食店。ビーフンを小麦粉の麺や春雨などに変更することもできる
台北市内で太麺のビーフンと黒白切を出す朝食店
手前が太麺のビーフン、奥が黒白切
さっぱりとしたビーフンスープ。これにサイドメニューを添えたものが台湾の朝ごはん
サイドメニューの豚モツ