文と写真・下川裕治

 

■バンコクで2週間の隔離生活、日本から持っていくべき食料は?

 バンコクのホテルで2週間の隔離。いったいどうなるのか、不安はいくつもあった。とにかくドアの外に一歩も出ることができないのだ。

 僕は皆が寝静まった深夜、こっそりとドアの外に出てみたが、それとて20メートルほど廊下を歩くことが限界だった。

 ツインの部屋だったが、ここで2週間……。

 ひとつの心配は食事だった。

 僕は部屋で本の原稿を書くことにしていたが、そういう生活を続けると、食べることだけに関心が集まってきてしまう。今日の食事はどんな味だろうか……。原稿を書きながらそんなことばかり考えてしまうのだ。

 隔離ホテルは、その代金に、1日3回の食事代が含まれていた。朝、昼、晩とビニール袋に入った食事が、廊下のドア脇に置かれた椅子の上に置かれる。事前にその食事について、バンコクで隔離ホテルの手配をしている旅行会社に訊いていた。

「『サトウのご飯』みたいなご飯を日本からもってくるって聞きます。ときどき、ご飯がない場合もあるらしい。やっぱり、夕飯は白いご飯がないと、ということらしいです。それとお菓子なんかの副食。それは一切ありませんから」

 白いご飯には食指が動かなかった。僕は白いご飯にこだわるタイプではなかった。