2回目のPCR検査は、隔離が終わる3日前に行われる。その結果が翌日に出る。そこで陰性なら、プールサイドに1時間だけ出ていいことになっていた。

 結果は陰性だった。連絡をとると、午後1時から1時間、プールサイドに出ることが許された。

「ここまでするだろうか」

 プールサイドのビーチチェアに腰かけて呟いてしまった。僕は明日、このままホテルを出る。その後は自由にバンコクを歩くことができる。そういう状態なのだ。それでいて、隔離ホテルのなかでは、プールサイドに1時間……。なんだかしっくりとこない。

■ついに隔離生活が終わったが…

 最終日の朝、隔離が終わったという連絡を受けた。勝手にチェックアウトしていいという。荷物をまとめ、フロントに向かった。

 チェックインをしたのは、特別のスペースだった。隔離が終わると、通常の宿泊客が通る通路を使い、フロントに出る。

「こういう構造になっていたのか」

 フロントがある1階の構造がやっとわかった。フロントでチェックアウトの手続きをしながら、やっと表の社会に出てきた感覚があった。

 ロイヤルラタナコーシンホテルは、王宮には近いが、街に出る地下鉄駅までは20分ほど歩かなくてはいけなかった。フロントでタクシーを頼んだ。

 通常なら、荷物をもって駅まで歩いたのかもしれないが、どこか長い入院が明けたような気分で、ホテルのスタッフにすすめられるままタクシーに流れてしまった。

 

チェックアウトのとき、はじめて目にしたフロント。隔離ホテルではそうなってしまう