あのすいません今日は見学で……などと適当に言いつくろい、ヨレヨレになって半泣きで店を出る。

「お前、撃ちたいだろう」

 帰路に英語で声をかけてきた、また別の店の店主は、AK47からロケットランチャー、イスラエル製の機関銃まで見せてきて「これで大嫌いなやつをぶっ殺せるぞ」とか言う。もうカンベンしてください。

「それじゃあ、こいつはどうだ」

 ペンのような形をした、いわゆるペンガンであった。「こいつでな、こっそりイヤなやつをぶっ殺せるんだぜ」天空に向けて店主がペンガンを構えて撃った瞬間、パァァァァン!と衝撃音が鳴り響く。なにがこっそりか。大音響である。

 だがそれよりも、ペンガンの音に誰ひとり注目していないのが、このマーケットの恐ろしさかもしれないと感じさせられた。

 国境に立つ市場はいろいろとあるが、ここスマグラーバザールは、世界最悪のデパートだと思う。しかし一方で、こんなムチャクチャな場所が存在していることに、痛快さも感じていた。

 

ペンガンを撃つ直前の銃器屋のアニキ。ここでは人殺しがけっこう日常だ

*国境の場所は、こちらの地図をご参照ください。

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