■故郷の家族はコロナ感染

 ブックフェアの活動についてはフェイスブックで共有している。今週も開催するのかどうか、天気とコロナの感染状況を見ながら決めて、テーさんたち中心メンバーがフェイスブックに投稿する。それを見た同人仲間や、ほかにも興味を持ったミャンマー人が、続々と高田馬場にやってくる。だから、

「誰が誰だか、私もよくわかってない」

 とテーさんは笑うが、SNSを活用した緩やかだが広がりのあるデモが、彼ら若いミャンマー人たちの得意とするところだ。だからここは立場のさまざまなミャンマー人が集まってくる、交流の場でもある。留学生や社会人もやってくるし、テーさんは技能実習生だ。ふだんは縫製工場で働いている。

「もうすぐ3年の実習期限だけど、あと2年延長できるから、まだ日本で働きたい」

 そう明るく話すが、中部バゴーの実家では家族がコロナ感染し、ようやく回復したばかり。軍の弾圧と不服従運動によって、ただでさえ医療崩壊しているところに、ミャンマーでもデルタ株が暴れている。故郷の家族や友人たちが心配だろうと思うが、帰るに帰れない。国外で反軍デモを行っているのだから、帰国したら軍に迫害されるのではないかという恐怖、ミャンマーに帰ったらもう二度と海外へ行けなくなるのではないか、自由を奪われるのではないかという思いを、テーさんだけでなく日本にいるミャンマー人の多くが抱えている。

 

「日本の中のミャンマー」高田馬場で活動するブックフェアの皆さん

■ミャンマー人は読書好き

 ミャンマー人は、日本人と同様に「活字好き」な人々だ。ネットが普及したいまも、ミャンマーの街を歩けば必ず書店があり、路上では古本市が開かれているのもよく見る。食堂や市場などでも、仕事の合間に読書をしている姿を目にしたものだ。

 僕はミャンマーの隣国タイで10年ほど暮らしたが、タイ人はさっぱり本を読まないし本屋はまるで充実していないし、「この国の活字文化はどうなっとるんか」と憤っていたのだが、その点ではミャンマーに親近感を覚える。

 そんな彼らの特性を生かした小さなブックフェアを見に、日曜の午後は高田馬場に行ってみてはどうだろうか。ついでにミャンマー料理のレストランにも立ち寄って、半日ほど「リトル・ヤンゴン」を歩いてみるのもおすすめだ。

 

こちらはコロナやクーデターの前、ヤンゴンの市場にて。お客さんがいないときは、みんな読書に夢中だった

好評発売中!! バックパッカーズ読本

BACKPAKShoei
『バックパッカーズ読本』(双葉社) バックパッカー初心者から旅マニア、女性ひとり旅、シニアバックパッカーまで必読の「旅のバイブル」。インターネットでは探せない旅の基本から最新情報を掲載。著名な執筆陣が様々なスタイルや目的の個人旅行の神髄を説く!

 

 

 

 

日本の異国: 在日外国人の知られざる日常
日本の異国: 在日外国人の知られざる日常

もはや移民大国。激変を続ける「日本の中の外国」の今を切りとる、異文化ルポ。竹ノ塚リトル・マニラ、ヤシオスタン、大和市いちょう団地、茗荷谷シーク寺院、東京ジャーミィ、西川口中国人コミュニティ、そして新大久保ほか。2017年末で250万人を超えたという海外からの日本移住者。留学生や観光客などの中期滞在者を含めれば、その数は何倍にもなる。

 

 

ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く
ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く

人口の35%が外国人! この街には日本の近未来がある。“よそもの"によって作られ、常に変貌し続ける街・新大久保。そこで実際に暮らすことになった気鋭のノンフィクションライターが活写した、多文化都市1年間の記録。

 

バンコクドリーム 「Gダイアリー」編集部青春記
バンコクドリーム 「Gダイアリー」編集部青春記

エロからテロまで! バンコクに編集部を置き、「日本の恥!」と駐妻たちに目の敵にされた伝説の雑誌「Gダイアリー」。その編集部員が綴るウソのような舞台裏。あの熱量はなんだったのか? 男たちの夢を偏執的に詰め込んだ夢の雑誌。
「俺も“Gダイの編集部で働きてえな”と思っていた読者でした」丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)