■専門店の役割 

 

 近ごろの東京のまちの表通りにはチェーンストアばかりが目立つように思う。そんな景色に少しくたびれると、私はふらりと裏道に入る。

 騒々しいまちの一歩裏手に青果店や豆腐店、表具店や荒物屋をみつけるとうれしくなる。小さな専門店が支える地域の生活が見えるから。

 ある夕方、職場の近くのビルの間から漂ってきた揚げものの香りに誘われて路地を入ってみた。小さな豆腐店が厚揚げを揚げているところだった。軒先には上品なおばあさんが。

 「何十年も毎日ここでお豆腐を買っているのよ。ここの厚揚げは特別よ。小さく切って揚げているから使いやすいの。朝来れば豆乳もおからも買えるわよ」

 店内で作業をする親子が「うんうん」とうなづく。

 こんなとき、「小さな専門店はまちの教育機関だ」、と思う。素材のこと、使い方、なんだって教えてくれる。

 

騒々しい表通りの裏手で発見した豆腐店

                        

 豆腐店の近くにはほうじ茶専門店もあって、いい香りをふりまいている。香りに誘われて店内に入れば試飲を勧めてくれる。店内にある各種のほうじ茶について質問すればきちんと答えてくれる。

 そんな専門店が、どんなまちにもあったはずだが……。

 

ほうじ茶専門店で商品を手に取る私

 

■スーパーマーケットで日本茶を?

 

 まちなかの専門店はどんどん減っている。日本茶の専門店もずいぶんと減っている。スーパーマーケットやコンビニエンスストアで便利になんでも揃うから。スーパーマーケットによってみる。日本茶のコーナーによってみる。各社各種の商品が並ぶ。緑色のパッケージは緑茶、茶色のパッケージはほうじ茶。値段はそれぞれ違うが、その差がどこにあるのか読みとることは難しい。裏の説明を読んでも、産地や製法の説明は書いてあるものの値段との関連性についてはもうひとつリンクしない。どれを買えばいいかわからない。ならば、「一番お得なものを」と考えるのが普通だ。

 残念なことだ。

 やはり専門店で買い物をするのが一番だけど、実際には対面での説明なしに買い物をすることがほとんどの現在、お客様がパッケージを見ただけでその商品情報を読み取れるような仕掛けをすることが必要なんじゃないかといつも思う。

 

似たようなデザインの日本茶商品が並んだ棚