文/ステファン・ダントン

 

 博覧会や展示会で日本茶を紹介するために、海外で日本茶が受け入れられる可能性を探るために、ヨーロッパへ、東南アジアへ、アメリカへも旅をしてきた。

 わかったのは、どんな国でも「日本茶を知っている」人たちのコミュニティはある。ただし小さい。しかも、数少ない「日本茶を知っている」人たちと実際に話をすると、表面的なトレンドとして「日本茶を知っている」にすぎないと感じる。

 「目新しい」「ヘルシーな」「日本の伝統文化を代表する」ドリンクという新たなジャンルとして、トレンドとして日本茶を発信するのもいい。でも、トレンドからスタンダードへ、日本茶が日常の食卓に自然に置かれる風景を実現しないと、私が目指す「日本茶を世界のソフトドリンクに」とはならない。

 

■「出張なのか旅なのか」

 

 海外での展示会に行くときに大事にしていることがある。

 「試飲してもらい」ながら話しをする。日本茶の楽しみ方を淹れ方やアレンジを交えながら紹介する。でも、こちらのいいたいことを伝えて終わってはいけない。相手から「質問をしてもらう」ことが大事なんだ。興味を持てばもっと知りたくなるのが人間。質問を引き出せればそこからもっとコアな情報を与えることができる。「教育」ができる。さらに、質問や会話の内容から相手の関心の方向性がわかる。その数が重なればその国やエリアの特徴や求めているものがわかってくる。

 もちろん展示会場が主な仕事の現場だが、空港で、道端で、ホテルで、カフェでその国やエリアの情報を五感全部で受け止めることが重要だと思っている。ただよう香りや匂い、料理の味、人々の表情、出会った人との会話。

 展示会に訪れる人は、ある程度日本や日本食に関心のある人だ。その層の求めるものと、大部分を占める日本にも日本食にも関心のない層の求めるものは違うだろう。彼らにも日本茶をアピールする方法を考えるために私はいつも街へ出る。

 私にとって、海外での仕事も「旅」なんだと思う。自分の本当に伝えたいことを伝える方法を考えながら、その場所を味わうことで、次の計画へとつなげていく過程は旅そのもの。与えられたミッションをこなすだけの「出張」とは違う。

 展示会で他の業者と同行するときにいつも思う。「商品を売る」というミッションのために誠実に商品紹介をしているのは間違いない。ただ、コミュニケーションが足りない。「質問」を引き出せていない。引き出そうとしていない。自分の売りたいものは伝えているが、相手のほしいものがわからないまま帰国してはもったいない。

 

展示会のブースで実際の茶葉を並べている様子。パーティではドリンクを提供する。商品紹介とリサーチのチャンスの場である