台湾から帰国して3年くらい経った頃だったろうか。お昼どき、鎌倉の実家で台湾仕込みの水餃子を作って、母親といっしょに食べようとしたときのことだ。

 

 餃子を20個包み、茹でて湯切りしたものを10個ずつ皿に盛ってテーブルに置くと、母親が言った。

 

「ごはんをよそって」

 

「えっ!」

 

「えっ、じゃないでしょ」

 

 母親が不思議そうな顔をする。

 

 そうか……、日本では餃子(焼き餃子)はごはんのおかずだったんだ。

 

 高校を出てからシアトルの大学に留学し、卒業後、日本で腰を落ち着けることもなく台湾で7年、上海で2年過してしまった私は、日本の餃子習慣をすっかり忘れてしまっていたのだ。

 

 日本で餃子を食べる機会というと、お昼ごはんか晩ごはん。あとは中華屋さんでラーメンやチャーハン+もう一品として選ばれるくらいだろう。

 

 台湾で餃子がもっとも売れるのはランチタイムだ。男性も女性も少なくとも10個は食べる。ごはんを食べる人などいない。そもそも餃子専門店のメニューにライスはない。サイドメニューとして酸辛湯などのスープや野菜の小皿があるくらいだ。

 

 台湾の餃子の具は豚肉(または豚肉+エビ)、ニラやタケノコなど。それを包む皮はモチモチとしていて炭水化物をたっぷり食べたという満足感が得られる。餃子ひとつで完成された食べ物なのだ。これにごはんなど加えたら、炭水化物祭りもいいところではないか。

 

 そう言いながらも、私は日本に定着して15年以上になる。今では焼き餃子にしょっぱい醤油ダレをつけてごはんをモリモリ食べたり、小さめの焼き餃子をポイポイ口に放り込みながら、ビールを流し込んだりするのが大好きである。
 
 

台北駅近くの人気店「豪季水餃專賣店」の水餃子。10個で60元(約240円)。エビ入りは80元(約320円)
「豪季水餃專賣店」の水餃子の中身
「豪季水餃專賣店」では店員さんが餃子を包む様子もつぶさに観察できる

 

 

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