「腹減ったなぁ、餃子が食べたいな」親友J(ジェイ)のそんな何気ないひと言から僕等の旅は始まった。かなり昔、餃子にまつわるエトセトラ。
 その日僕とJは、いつものように僕の家に集合し、夏特有の気だるい空気の中ウダウダと過ごしていた。たぶんこんな会話をしたんだ。「じゃあ餃子食べよう」「宇都宮に美味い餃子の店がたくさんあるらしいな」「じゃ宇都宮行って食うか!」。(夏の気まぐれ発動)そうして、あたかも近所のファミレスにでも行くかのようなノリで、財布だけ持って僕の車に乗り込んだ。当時の僕等の旅はいつだって「目的だけ決めてGo!」だった。(若気の至り)

 13:00 美味しい餃子の店が宇都宮のどこにあるのか?という肝心なことをあまり気にもせず、とりあえず宇都宮駅をカーナビに入力して出発。その日の道路は思いの外、空いていた。東北自動車道ではなく一般道のまま走っていった。クルマのラジオでは往年の洋楽ヒットナンバーが流れていた。「スタンド・バイ・ミー」がかかる。どちらともなく口ずさんだ「スタンド・バイ・ミー」をいつしかふたりで歌っていた。きっと僕等の旅の始まりのテーマソングのような気分だったんだと思う。(赤面の青春)

 18:00 宇都宮駅到着。夏だから日差しはまだ明るい。土地勘が全然ないので駅前のパーキングにクルマを停め、初訪の「餃子王国」探検開始。当時は駅ビルに名店の支店などもなく、ましてや駅前に有名な餃子の店を集めた施設などもナシ。しばらくうろつくと「餃子のビーナス像」を発見。さすが餃子王国!と感心するが、その現物は当時のシンガポールのマーライオンやコペンハーゲンの人魚姫像然りで、“名物の像の実物の大きさは意外と大したことがない”というあるある。ちょっぴり複雑な気分。

 気を取り直し「みんみん、香蘭、宇都宮餃子館」と呪文のようにつぶやきながら、ドラ○エの勇者よろしく探検再開も見当たらず。自力での探索を諦めて地元民への訊き込みへと方向転換。

 19:00 アーケードの商店街の方にいくつかがあるらしいとの情報を入手。しかーーーし!僕等は甘かった。大誤算。もう有名店は、その日の分は既に売り切れて閉店か、並んでいる人の分で終了だとか。緊急事態発生!空腹警報も発令!!

 このままだと遥々宇都宮まで遠征をして、餃子を口にすることもなく無様に撤退となりかねない。アーケードを走り廻るおマヌケ二人組。やっとまだ開いている店を発見。名前は知らない。訊き込みでも出てこなかった店名。でもいい、なんたって「王国の餃子のお店」だもの。

 その餃子は“美味しかった”。だがそれは王国の底力のなせる技か?それともこの時間まで食べていなかった“空腹という名のスパイス”による幻想か??釈然としないまま店を出ると、Jがひと言「考えてみたら池袋サンシャインのナンジャタウンにある『餃子スタジアム』でいろんな有名店の餃子が食べられるんだったな」と。気がつくと僕はJのケツを蹴っていた。今となっては「餃子が食べたい=宇都宮に行く」という思考回路には苦笑しかない。この冒険譚にはまだ続きがあるのだが、それはまたいつか。

 

 さて、本題です。(またしても前置き長過ぎ!)
 最近食べて美味しかった餃子をご紹介。店の名は「赤坂珉珉」。(宇都宮のみんみんではなく、赤坂の珉珉w) 店構えが、道玄坂にある台湾料理の名店「麗郷」と同じく、いい雰囲気を纏っています。よね?

 

いかにも美味しそうな“只者ならぬ佇まい”の店構え
年季を感じさせる、壁に掲げられたメニュー

 

 とりあえずのビールと焼き餃子、それから水餃子を注文。「お母さん」と呼ばれている女性が、お酢とコショウでつけダレを作ってくれました。焼き餃子はコレで食すそうです。醤油と辣油ではないのですな。やや大ぶりな焼き餃子をタレにつけてひと咬みすると、皮の弾力性ある歯応えが。そして肉汁が。美味いです!

 

お母さんが作ってくれた「お酢とコショウのつけダレ」とともに
餡はギッシリと詰まった 肉・肉・肉!「焼き餃子」

 続いて水餃子。鶏ガラスープに浸されたその姿は、まるで温泉に浸かる美女の肌のごとくツヤツヤでしっとり。モチモチっとした皮。レンゲでスープとともに食すと絶品! 僕が今まで食べた水餃子の中では間違いなくナンバーワンかと。

 

僕も一緒に鶏ガラスープに浸かりたいw。「水餃子」

 八月の暑い日に餃子を食しながら思いました。お盆には、茄子や胡瓜に割り箸を刺した「迎え馬」という風習がありますが、代わりにこの餃子に割り箸を刺して、ご先祖様や亡き人にお供えしてもいいくらいだなと。
そして「宇都宮のみんみんは食べられなかったけど赤坂の珉珉は美味かった」と。今は亡き天国(地獄?)のJに報告と供養。

 

日本のお盆の風物詩「迎え馬」。僕も作ってみました(J見てるか?)
追加で注文した「ドラゴンチャーハン」