■茶産地から求められる「日本茶の新たな可能性」

 

 おちゃらかやフレーバー茶に注目してくれるようになったのは、マスコミやお客様だけではなかった。既存の茶業者や生産者の耳にも「東京でフランス人が香りを付けた日本茶が売られているようだ」という情報が届くようになる。

 「日本茶に香りをつけるなんて邪道だ。受け入れられない」

 という好意的ではない見方も多かったようだ。一方で、

 「日本茶の新しい切り口を提示している。おもしろい存在だ」

 と、理解を示してくれる人も徐々に数を増やしていたようだ。

 日本茶の消費量は減りつづけている。日本茶に関わるすべての人が危機感を持ち、打開策を求めていた。

 そんな中、私に「日本茶の新しい可能性」について意見を求める方が生産地でも現れ、小さな講演会を行うチャンスが増えてきた。 

 「日本茶には、伝統も文化もある。でも、それなのになぜ消費量が減っているのか考えてみたい。日本茶をシンプルな考え方でとらえれば、大きな可能性を秘めたすばらしい素材・食材だ。ただ、それを多くの人に伝える戦略を考えたほうがいい。私の方法は、フレーバー茶で関心を引き寄せた方に日本茶本来の味わいやさらには文化にまで気持ちを向かせるというものだが、他にも、ブランディングやパッケージの作り方など考えることはたくさんある。よいものも知られなければ、興味を持たれなければ手にとってもらえないよ」

 こんな話をすると、「外人が日本茶に変なアレンジをしているけど、そんなのは邪道だ」という感想から、少しずつ理解と共感を示してくれる人が出てきたのはうれしいことだった。

 生産地の小さな会場での談話会のようなものもしたし、静岡市内の大ホールで行われた静岡県農協茶業者集会での記念講演もした。

 私は相手が一人でも、数百人規模の講演会でも、常に同じ熱量で想いを伝えてきた。相手がお客様でも友達でも生産者でも、いつも同じように話をしてきた。

 





川根本町でのレクチャー


静岡講演会の様子。
JA静岡講演会で水出し茶を飲む参加者。