案内された居酒屋で食べた鰹は今でも忘れられない。付け合わせの生姜もにんにくも野菜の取り合わせも、東京で食べるのとはまったく違う新鮮さ。

 地元食材と地元の酒を地元の人とともに味わい、気持ちよく酔いながらも、私の意識はまだ味わったことのない河原茶のほうへと向かっていた。

 

河原茶
土佐の鰹
四万十のスナック街

■四万十のオリジナル茶開発に向けて

 

 この最初の四万十行きから、四万十河原茶というオリジナル茶の開発を目指して、毎月四万十に通うことになるとは思いもよらなかった。Hさんとは約束どおり茶畑にも農家にも行ったし、ブレンドする特産品を何にするのか毎日相談した。その合間には酒も飲んだし、一番最初の約束どおり四万十川で川遊びもした。

 



夏の四万十川の様子。そこへ飛び込む

 私は全身の五感を通じて、四万十を知りながら四万十のオリジナル茶の構想を固めていった。

 2012年から2013年にかけて、全国から講演の依頼や共同事業のお誘いが増えていた。テレビの取材も頻繁にあった。四万十のオリジナル茶をつくろうとしたそのころ、あるテレビ番組からオリジナルフレーバー茶の開発過程のドキュメンタリーを撮りたいというオファーがあったのが、私たちのオリジナル茶開発にはずみをつけた。

 東京でのHさんとの出会いが、私を四万十へ連れて行った。そして、ここから始まった地元の茶と食材を組み合わせた地域特産茶の開発は、私の仕事の大きな柱のひとつになっていく。

 出張と荷物が増えてスーツケースを買った。

 

出張でのパートナーとなった赤いスーツケース