■四万十でできた河原茶と「あにき」と

                                            

 四万十をはじめて訪れた2012年の12月から数ヶ月後の2013年春、四万十河原茶は完成した。ブレンドの内容、香り、味、そしてパッケージデザインが調和したパーフェクトな商品ができあがった。

商品化された四万十河原茶

 現地で日常的に飲まれている番茶をアレンジして都会でも、海外でも受け入れられるようなお茶にすることが目標だった。

 四万十では河原茶と呼ぶカワラケツメイを乾燥させた番茶は、一般家庭やレストラン、役所での打ち合わせでも必ず出される日常のお茶だ。野生的な土の香りとほのかな苦みと甘みは、いつ飲んでもおいしかった。東京に住む外国人の私にとっても文句なしの味わい。

 東京にこのお茶を持ち帰って飲んでみた。何かが違う。四万十の空気や料理や人々がつくり出す土地の香りの中で飲む河原茶はパーフェクトにおいしい。ただ、東京ではこのデリケートな香りや味わいはかき消されてしまうのだ。

 「田舎の繊細なお茶を、都会の刺激的な環境でも負けないようにアレンジしよう」

 私は考えた。四万十に私を連れていってくれたHさんと一緒に考えた。

 まずは、カワラケツメイを焙煎して香ばしさをプラスしてみた。マメ科植物独特の香りと調和し引き立ててくれる素材を探した。

 

四万十の山中で素材を探す

 

 四万十特産の食材を加えながらHさんと一緒に試飲を繰り返した。爽やかなゆず、ピリリとした生姜がベストマッチだった。そこに少し唐辛子の刺激を加えてみた。

「Hさん、どうかな?」

「いいね。河原茶に刺激と四万十らしい香りが加わって新しい感じだ」

「高知の焼酎や日本酒を割ってみようか?」

 何度か会ううちに意気投合したHさんと私は、あうんの呼吸で新しいお茶と新しいアレンジを実験してみた。

「完璧だね、ステファン!」

「最高だね、Hさん!」

 

四万十河原茶の茶葉

 

 「四万十河原茶」と名付けたそのお茶のパッケージにはくすんだ赤と黄色を使った。日本全国、とくに東京に向けてつくったゆず・生姜・唐辛子のブレンドは赤。海外に向けてつくったバージョンは、ゆずだけをブレンドしたから黄色にした。

 

海外向けにつくった四万十河原茶(ゆず)