スペイン・カナリア諸島のラス・パルマス・グラン・カナリーへ

 それでは、今回からは2018年10月、スペイン・カナリア諸島のラス・パルマス・グラン・カナリー編を始めよう。この街を訪れたのは、初めてのWOMEXを取材するためだった。

 普段なら旅先の民族音楽や郷土料理を事前に調べてから出かけるが、この時は初めて参加するWOMEXでの分刻みのスケジュール管理や出演アーティストたちへの取材申し込みばかりに気が取られてしまい、開催地であるカナリア諸島の文化や音楽や料理などを下調べする余裕は全くなかった。スペイン本土なら1990年代に二度訪れたことがあったが、カナリア諸島なんて考えたことすらなかったのだ。そこで、まずはカナリア諸島について僕が知っていたことと、インターネットで簡単に調べられるデータを記しておこう。

 カナリア諸島はアフリカ北西部の大西洋沿岸に浮かぶ7つの島からなる群島。スペインの領土だが、一番近い国はスペインではなく、モロッコと西サハラ。要は日本ではスーパーに並ぶ茹で蛸の産地として知られる海域(カナリア海流域とも呼ばれる)の群島である。

 歴史的には先住民のベルベル人、アラブ人やポルトガル人によって支配された後、15世紀末にカスティーリャ王国に征服され、スペイン化された。近世にはスペインによる中南米進出の前線基地として栄え、20世紀後半以降は一年を通じて温暖な気候から「常春の島」と呼ばれ、国際的な観光地として発展を果たした。

 食に関しては、海に囲まれているため、マダイ、サメ、エビ、蛸、イカ、ムール貝などの海産物を使った料理が多く、また、アメリカ大陸との交易の影響でジャガイモ、トマト、トウモロコシ、バナナなども多く用いられる。島を代表する料理は地元品種のジャガイモをオーブンでじっくりと焼いた「パパスアルガダス」。また「モホス」と呼ばれる赤唐辛子や香菜を使った赤色や緑色のソースも島の独自の調味料として愛されている。ずいぶんと昔の思い出だが、スペイン本土では豚肉からハム、緑黄色野菜やパン、魚介まで、何を食べても美味しかった覚えがあるので、少なくとも海産物に恵まれたカナリア諸島で不味いものに当たることはなさそうだ。

 日本からラス・パルマス・グラン・カナリーに行くには、まずスペインの首都のマドリードへ向かう。そこで、長い間死蔵していたユナイテッド航空のマイルでゲットした片道の特典航空券でマドリードまで行き、その先の国内線はエアヨーロッパというLCCで飛ぶことにした。現地ではイスタンブルの音楽業界の友人たちがAirbnbで手配している広いアパートに泊まり、彼らと行動を共にする時間も長い。そのついでに帰路には、イスタンブルで数日過ごしてから日本に帰国するターキッシュエアラインズのチケットを予約した。

 10月22日月曜の午後、羽田空港からANA便で北京へと向かった。北京空港のラウンジで4時間待ち、続いて深夜のエアチャイナ便で12時間かけてマドリードへ飛んだ。マドリードには23日火曜の早朝に到着した。時計の針を8時間戻し、大きなスーツケースを受け取り、国内線のターミナルでチェックインし、出発ゲート近くのラウンジに入り仮眠する。そこでイスタンブルから到着する3人の友人と合流予定なのだ。

北京からマドリードまで12時間のフライトはエアチャイナのビジネスクラスで。死蔵していたユナイテッド航空のマイル特典で無料取得した

翌朝到着したスペイン・マドリード空港で見た夜明けの太陽