奥のテーブルに真っ黒に染まったお米料理が運ばれていたので、ウェイターに「あれと同じイカスミのリゾットを下さい」と注文した。すると、「あれはイカスミではなく、蛸の墨のリゾットなんです」とのこと。蛸の墨だって? もちろんいただきます!

 しばらくして運ばれてきた蛸の墨のリゾットはお米とともに真っ黒に染まった蛸の身がたっぷり入り、上にのった小さなエビと半切りのレモンが色のコントラストを添えている。蛸が程よく焦げた香りも食欲を誘う。真っ黒なご飯を口に入れると、濃厚な蛸の香りと出汁が頭蓋骨全体に充満して、全力で主張する。美味い! 美味すぎる!

 

これが蛸の墨のリゾット! イカスミよりも味が濃くて、一口でヤミツキになる!

 体内に大量に墨を持つイカとは異なり、蛸は捕獲の段階で墨を吐いてしまうのと、元々の墨の量自体が少ない。そのため日本でも蛸の墨を料理に使うのは蛸の産地として有名な明石などに限られる。その点、さすがに世界有数の蛸漁場が目と鼻の先にあるカナリア諸島。蛸の墨をふんだんに使った料理が食べられるというワケだ。

 よし、6日間の滞在中、何度でも蛸墨のリゾットを食べ続けよう! いやあ、蛸の墨を食べられただけでも、カナリア諸島に来て良かった!

 夜が更けるに従い、風向きが変わったのか、大西洋の波の音が聞こえてきた。世界中の仲間たちとの話は尽きないが、翌日からはWOMEXが始まるので、そろそろお開きにしよう。

 勘定を頼むと10人で90ユーロとのこと。しこたま食べて、ワインまで飲んで、味も大満足して、一人9ユーロ(1,168円)って、いくらなんでも安すぎない? ウェイターのアニキ、計算間違ってるでしょう? まあ、ラ・ロンハには、これから毎晩、WOMEX参加者たちが足を運ぶことになるのだから良しとしてくれ。

 

宿に戻ってベランダから見た深夜のラス・パルマス・グラン・カナリー。さて、明日から忙しくなるぞ~!