文/ステファン・ダントン 写真/冨田 望

 

 新生「おちゃらか」をオープンしてから現在まで、より「おちゃらか」らしい店づくりを目指して内装の手直しを続けてきた。そして何よりも大事な「店の顔」として、まちを歩く人にアピールするサインが必要だった。

 「店先に下町らしく提灯を飾りたい。暖簾もずいぶんくたびれているから新しくしないと」とオープン当初から考えていた。しかし…資金が足りない。考えていたよりも長く続くコロナ禍。日々のやりくりで精一杯だった。

 

手帳にはアイデアがたくさん書き込まれている。おいしいお茶もある。それなのに、始動できない日々が続いた

 

■店の顔を地元でつくる〜人形町は職人のまち

 

 2020年7月、正直オープンしてからずっと店は暇だった。おかげで人形町を歩き回る時間はたっぷりあった。通り沿いには老舗の刃物屋さんや人形焼屋さん、傘屋さんが立ち並ぶ。人形町は職人のまちだ。そんな中に古い染め物屋さんと提灯屋さんを発見し、覗き込む日々。

 

 「正月までには店先のデコレーションを完成したい」

 秋も深まったころ、一念発起して店のドアを開けた。

 

 染め物屋さんは「ダントンさん、大丈夫。正月に間に合うようにやってあげるよ」とオリジナルの暖簾を猛スピードで仕上げてくれた。

 提灯屋さんのおばちゃんに「このサイズの提灯に『茶』の字を入れてほしいんだけど」と声をかけると「そこにあるのだけなのよ。それでよかったら字入れの値段だけで結構よ」と嬉しいおまけをしてくれた。

 助かった。これが下町の人情ってやつだろうか。おかげで「おちゃらか」の顔がほぼ完成した。店先に植えた茶の木もぐんぐん育っている。あとは、まちに活気が戻るのを待つだけだ。そこから本格的に「おちゃらか」の勝負が始まる。

 

地元の職人さんが手がけた提灯と暖簾。おちゃらかの顔がまちに馴染んできた

 

 実はもうひとつ、勝負の準備を始めていた。長年温めていた新たなアイディアを形にし、いつでもどこでもフレーバー日本茶が楽しめる「インスタントエキスパウダー日本茶」を開発したのだ。9月に発売したこの新製品の開発秘話はまた今度。

10年以上前から開発を始めていた「インスタントエキスパウダー日本茶」を握る

編集協力/田村広子、スタジオポルト

「ステファン・ダントンの茶国漫遊記」vol.62 (2021.10.8)

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【新店舗】

東京都中央区日本橋人形町2-7-16 関根ビル1F
(東京メトロ日比谷線、都営浅草線「人形町」駅 A3出口)

おちゃらかHP(オンラインションップ併設)はこちら

 

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