文と写真/サラーム海上

 

■ワールドミュージックの国際見本市WOMEX開幕!

 2018年10月24日水曜午前8時、僕はスペイン・カナリア諸島の町、ラス・パルマス・グラン・カナリーの中心地にある、地上17階のマンションの一室で目を覚ました。隣のベッドにはイスタンブルの友人セルカンが大きないびきをかいて眠っている。隣の部屋からもアフメトジャンとセルハンの豪快ないびきが壁を超えて響いてくる。耳栓はしていたが、時差ボケもあってもう眠れない。

 ベッドから抜け出し、サンルームに出ると、まだ外は真っ暗、夜が明けていない。冬時間に切り替わる直前とは言え、すでに8時過ぎだぜ? カナリア諸島のタイムゾーンはスペイン本土より1時間遅く、イギリスやポルトガルと同じ西ヨーロッパ夏時間(日本との時差はマイナス8時間)なのだが、アフリカ大陸よりも更に西の大西洋上に位置するだけあって、日の出は午前8時15分前後と遅く、空が明るくなったのは午前9時を過ぎてからだった。

ラス・パルマス・グラン・カナリー午前8時、まだこんなに暗い!

午前9時20分、やっと明るくなってきた

 ワールドミュージックの国際見本市WOMEX2018がこの日から始まる。と言っても初日は昼は受付と見本市の準備、夜もオープニングイベントだけ、本番は翌日からである。

 朝が遅い3人のトルコ人たちがついに起き出してきて、全員でタクシーに乗り、WOMEXの会場に向かったのは正午前だった。昼間の会場は町の中心から内陸に3kmほど入った広い国道沿いにある市のコンベンションセンター。入口で名前を名乗り、僕は事前に申請しておいたプレス証を受け取った。敷地内に入ると、広い中庭の左側と奥に天井の高い2階建てのビルが建ち、右側には音楽ホールが複数入った劇場が建っていた。

昼の会場のコンベンションセンターInfecarに到着。初日なのでまだ人が少ない

プレスパスと一緒にいただいたトートバッグの中身。約2500名の参加者の名前が掲載された分厚いプログラム、コンピレーションCD、タイムテーブルなど

  左の建物に入ると、奥に向かって長く続く廊下の左右が白いパーテーションとパネルで区切られていて、6畳ほどの小さな見本市のスタンドが無数に並んでいた。後に発表された数字によると、250のスタンドに55カ国から650を超える会社や団体が出店していたそうだ。見本市は翌日から始まるため、多くのスタンドはまだ無人で、人がいるスタンドもアーティストのポスターで壁を飾るなど、準備の最中だった。

 そこで目立ったのはフランスやブラジル、ノルウェー、スウェーデン、アイルランド、オランダ、コロンビア、そして地元スペインなど、ワールドミュージックに力を入れている国。こうした国々は複数のスタンドをぶち抜きで借りていて、コーポレートカラーやロゴも取り入れているため、建物の一角がまるごと一つの国のスタンドになっている。幕張メッセで開催される国際食品見本市FOODEXで、フランスやスペインやイタリア、中国などがどの国よりも目立っているのと同じような状態だ。アジアからは唯一、韓国が巨大なスタンドを出していて、十人ほどのスタッフが詰めていた。さすがK-POPや映画で世界進出に成功した国だけに、ワールドミュージックでも世界進出を企んでいるのだ。残念ながら日本のスタンドは一つもない……。 

見本市スタンドの一角。見えているのが全体の1/20くらい