プラトー地区はフランスが植民地時代に統治府を置いた場所で、現在も銀行や役所、警察、教会などの大きな建物やオフィスが並ぶ。しかし、この日は週末なので人がほとんど出ていない。

 10分ほどでプラトー地区を抜けると、庶民的なエリアが広がっていた。道路の両側の丘陵に沿って色とりどりの掘っ立て小屋が立ち並び、それ以上にカラフルな服を着たたくさんの人、人、人が路上にあふれている。狭い小屋の中に快適な居場所はないだろうから、とりあえず仲間とつるんで路上に出ているのだろう。どこかムンバイのスラムを思わせるが、路上の人々が楽しそうにニコニコしているのがムンバイとは決定的に違う。

 タクシーは路上の人々をすれすれで交わしながら時速100km近く出して、ぶっ飛ばしていく。僕はそんな風景がなんだか可笑しくて、車内で笑いだしてしまった。アフリカには人を陽気にする不思議な力があるようだ。

 

アボボに向かうタクシーから見た路上

インド人もビックリ?の路上市場

 アボボ市役所前の大きな広場では、中央奥にステージが組まれ、その100m以上離れた手前に来賓のためのテントが張られ、テント内に来賓用のプラスティックの椅子が並べられていた。ステージからこんなに遠くていいの? テント内にはオシャレな民族衣装やスーツでビチっと決めたアフリカ人たちと暑さでヨレヨレとなった軽装のヨーロッパ人たちが数十名、既に陣取っていた。

 

 それにしてもお昼時は暑い。ちょうど通りかかった物売りからビニール袋入りの飲料水を買って、ドミニクさんにも1袋渡すと、「その水は衛生的ではないので、飲まないほうがいい」と諭された。ペットボトル以外の飲料水は飲んではいけないようだ。

 開始予定時間から一時間過ぎた3時過ぎ、アフリカ大陸で最も洗練された太鼓と言われる東アフリカの国ブルンジの太鼓チームが登場し、ダンスを交えたアクロバットのような演奏を始めた。距離が遠すぎるので、僕はテントから出て、彼らに近づいて写真を撮影し、ビデオを回した。しかし、演奏はたったの10分で終了。その後は遠く離れたステージの上で、DJが甘ったるいアフリカン・レゲエを流すだけ。午後の日差しはとにかく暑いし、午後4時近くになっても何も始まりそうにないので、いったん、広場を後にした。

 

アボボ市役所前広場のテント内来賓席にて。いくらなんでもステージが遠すぎるでしょう! アフリカ人は視力良いらしいけどねえ

アボボ市役所前広場の陽気なガードマンたち

アフリカ一美しいと言われるブルンジの太鼓隊

 宿に戻り、シャワーと冷房でクールダウンした後、ドミニクさんと再度合流し、MASAのメイン会場となる文化宮殿へ向かった。文化宮殿は宿からラグーン(内海)を挟んで真正面の南側にあり、直線距離はほんの数100メートルだが、タクシーでは橋を経由するので2kmほどの距離がある。

 

宿の上層階からラグーンを見渡す。反対岸に見えるのがMASAのメイン会場の文化宮殿

 文化宮殿内のMASAプレス事務所でプレスパスと8日間の全プログラムが掲載された小冊子を受け取ると、どこか遠くから肉の焼ける良い香りが漂ってきた。さすがにお腹が空いてきた!

 野外の大型ステージの脇を奥に進むと、野原にフジロックフェスのフェス飯ゾーンのように5~6軒の屋台が並んでいて、どの店も店頭に大型の炭火焼きグリルを置き、大きな魚と鶏肉をもうもうと焼いていた。屋台で働いているのはほぼ全員が女性。照明は暗いし、僕はアフリカ料理について何も知らなかったので、おばちゃんが最初に話しかけてきた屋台で鶏肉の炭火焼きとご飯のセットを頼むと3500CFA=約630円。そしてビール小瓶が500CFA=約90円。ドミニクさんはご飯の代わりにフライドバナナを頼んでいた。