文/チョン・ウンスク
2019年の夏、読者さんとの慶州ツアーの帰りに寄って以来、2年ぶりに釜山を訪れた。コロナ以前は年に2回は来ていたから、かなりのブランクである。釜山旧市街も変化はしているが、再開発が急ピッチで進むソウル旧市街と比べるとそのスピードがゆっくりで、ちょっと安心した。今回から数回に渡り、今の釜山の様子をお伝えしよう。

■おでんの香り
金海空港からバスで釜山駅まで来た。駅前広場はペデストリアンデッキ風に変わり、かなりあか抜けした印象だ。
2年前は釜山駅から光復洞の飲み屋に直行し、たちまち酩酊したので、ゆっくり街歩きができなかった。4、5年ぶりのように感じる。
駅舎を背に西方向を眺める。左手に東横インができたのは2009年頃だったから、12年以上が経過したことになる。当時、「日本型ビジネスモデルが我が国で受け入れられるか要注目」と新聞社のwebコラムに書いたが、今や韓国には釜山だけでなく、ソウル、大邱、仁川など計12もの東横インができている。

東横インの右隣、老朽化したアリランホテルがあった場所には、ガラス張りの高層ビルが建っていた。上層階にはホテル、1階にはCU(コンビニ)、STARBUCKS、サムジン・オムクが入っている。サムジン・オムクの文字にピンとこない人でも、釜山駅構内の2階コンコースでいつも行列を作っていたベーカリー式の練り物専門店といえば思い出すのではないだろうか。
全国から海の幸が集積する釜山は練り物が美味しいことで有名だ。オムクはおでんのように汁であたためて食べるだけでなく、カマボコのようにそのまま食べたり、コロッケのように揚げて食べたりするなど多様化が進み、今や釜山を代表するみやげものとなっている。


