オムクとは日本の人向けに平たく言うと、おでんダネである。ルーツは日本植民地時代にもたらされたおでんだが、韓国では魚のすり身の練り物だけがおでんとして定着した。これからの季節、もわもわっと湯気が出ている屋台があったら、おでんだと思ってまちがいない。

おでんは全国区の食べ物だが、地域によって練り物の形状やダシに多少の違いがある。この屋台ではカニでダシをとっていた

 小腹が空いたとき、屋台の主人に何も言わずに長い串をつかみ、むしゃむしゃと食べられるおでんは、理想のファストフードだ。後払いで1本1000ウォン(約100円)くらい。

 飲み屋から家に帰る途中、湯気に誘われおでんをひと串かふた串。これでお腹があたたまり、ぐっすり眠れる。日本のフィニッシュ・ラーメンより、お腹にもお財布にも響かない。サッと食べられるので終電を逃すこともない。ありがたいストリートフードだ。

 宴会で1、2軒飲んだ後、気の置けない仲間だけになって、「飲み足りないな。もう一軒行こう」となることはよくある。お腹はふくれているが、酒だけではさみしい。そんなとき、小鍋でグツグツ言うおでん(オデンタン)があったら最高である。

ソウルの飲み屋で食べたオデンタン。最近は新大久保など日本のコリアンタウンでも韓国式おでんが売っている。それを昆布やいりこでダシをとったスープで煮ると旨い。スープは関西風のつゆ(白だし)を薄めたもので代用してもよい。筆者は青唐辛子のすりおろしをつゆに加えて辛くするのが好み