なおこの国境は現在、特別な許可を受けた者しか通過することはできない。それは中国人も同様で、ツアー客の大半は国境前で写真を撮るだけだ。

 しかし中国国際旅行社で手続きをすれば、一時的にミャンマー側に遊びに行くことができる。中国企業が開発したテーマパークが国境を越えたすぐ先にあり、そこに行くツアーを組んでもらえる。旅行社のギャルたちが、かわいい民族衣装を着て「ミャンマーに行きませんかァ?」と誘ってくるのだ。中国語を話してはいるが、漢民族とは明らかに違う、丸っこく浅黒い顔立ち。きっとこのあたりに住む少数民族なのだろう。

 差し出されたパンフレットを見ると、そこにはミャンマー風の寺院があり、このあたりには暮らしていないはずの首長族(カヤン族)の村があり、どういうわけだかオカマショーが行なわれているという。

 そそられはしたのだが、日本のパスポートを見せてみるとギャルたちはハッとした顔になり「許可証を取るには、中国のIDが必要なの……」残念そうな顔でノートに書いた。外国人は訪問できないのだ。

 国境を越えた向こう側には、ミャンマー側からならば行くことができる。タイのメーサイからミャンマーに入り、チャイントンを経由、モンラーという街が、この国境ゲートのすぐ前に広がっている。

 その昔はゲートのこちらもあちらもシーサンパンナであり、自由に行き来ができたのだが、いまでは国そのものが違う。そしてミャンマー側では、シャン族の反政府グループの動きもあり、越境が制限されたままだ。

 しかしこの国境もいずれ、オープンするだろうといわれている。国を越えた人やマネーの流れはもう止められないところまで来ている。ミャンマー国境もいずれ、次々とオープンするだろうと僕は思っている。

国際旅行社のギャルたちは一生懸命にミャンマーツアーの説明をしてくれた

ヒスイ博物館は残念ながらツアー客しか入れてくれなかった

【越えて国境、迷ってアジア vol.10】(2016.8.10)

 

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もはや移民大国。激変を続ける「日本の中の外国」の今を切りとる、異文化ルポ。竹ノ塚リトル・マニラ、ヤシオスタン、大和市いちょう団地、茗荷谷シーク寺院、東京ジャーミィ、西川口中国人コミュニティ、そして新大久保ほか。2017年末で250万人を超えたという海外からの日本移住者。留学生や観光客などの中期滞在者を含めれば、その数は何倍にも