文と写真・室橋裕和

 

タイは多民族国家だ。タイ族のほかに、たくさんの少数民族が暮らしている。彼らの故郷は北部の山岳地帯にある。ミャンマーやラオスと国境を接する山間部を旅し、彼らと出会えば、国境や民族について考えさせられることになる。

 

■タイ北部の国境地帯へ

 僕のようなマニアでもない限り、タイ旅行に出かける人の行き先は大きく3つに分けられる。まずはバンコクおよびその近郊であろう。首都バンコクでのショッピングや食事、スパなどを楽しみ、世界遺産アユタヤやパタヤの歓楽街を巡る。日本人の場合これがきっといちばん多い。

 次に南部のビーチリゾートだ。プーケット島やサムイ島、クラビーなどの美しい海でのんびり過ごすのはファミリー層や女子旅が中心だろうか。

 そしてチェンマイを中心とした北部である。山岳地帯が広がり、過ごしやすい気候で、トレッキングやら象乗りなどのエコツアーが人気だ。

 で、この北部山地で出迎えてくれるのは少数民族たちだ。タイにはモン族、リス族、カレン族、ラフ族などなど、タイ族とは異なったルーツや文化、言葉を持つ少数民族がたくさん暮らしている。人当たりが優しく、食文化も独特で、彼らがつくりだす柔らかな空気がタイ北部には流れている。

 

メーホンソーンの街で雑貨を売っていたリス族のギャルたち。若い世代の民族衣装姿はなかなか見られなくなってきている