目指せナガランド州境

 仕事をほとんどブン投げて、僕はグワハティに降り立った。7人姉妹の中では面積も経済力も飛びぬけた、いわば長女にあたるアッサム州の、州都である。

 久しぶりにヒリヒリしていた。情報がほぼ皆無、まったくの暗夜を手探りで歩いていくかのような不安感と緊張。だが、それがマニアを奮い立たせる。アドレナリンが泉のごとく湧く。

 目的地はズバリ、ナガランド州である。ここアッサムからはるか東、ミャンマーと隣接した州だ。周辺はインド側ミャンマー側ともに、とりわけ武闘派で鳴るナガ族が住まう地である。国境なんぞ関係ないんである。そんなものはつい最近、あとから引かれたにすぎない。

 イギリス支配の頃まで、ナガには首狩りの風習があったともいう。さらにはアヘンの生産と密輸でも名を馳せ、インド政府にもミャンマー政府にも背を向けた人々……シスターというよりサイコなアニキという感じだが、実にそそられた。

 

 情報はただひとつ。

 「アッサムの東の、ソナリって州境が開いたらしい」

 当時はどれだけググッても、まず行き方がわからなかった。しかし得意のグーグルマップを駆使してアッサム州の果てにSonariという地名を発見、その街から道がナガランド州に入り込んでいるのも確認した。ここだろう。グワハティからおよそ400キロ。直通の交通なんぞない。となればバスで刻んでいくまでだ。

 

ブラマプトラ河の流れをさかのぼるように東へと進む。すっげー疲れました

バスを乗り継ぎ、故障を乗り越え、東へ

 アッサム州は東北部の中心的な州であるため、インド人の進出が早くから進んだ。だからごく普通の、クラクションが鳴り響き、牛が横たわり、チャイ屋やカレー屋が立て込む、インドの街並みが広がる。ときどきタイ人のような日本人のような顔にも出会い、本当に人種の交差点なんだと感動を覚える。

 そんなアッサムを、大河ブラマプトラに沿って、バスで東へ、東へ。北のブータン、南のバングラデシュに挟まれた回廊のような部分を走っていることにも悦びを覚える。

 灼熱の大地を東に進み、大きな街に到着するたびにバスを乗り換えた。テズプール、ジョルハート……どんどんバスはぼろく、小さくなっていく。故障も続いた。パンク、エンジントラブル、またパンク。そしてとうとう窓なしエアコンなし、鉄の枠組みだけのような車体となってしまったが、シブサガルの街でついにソナリ行きのバスを見つけたのだ。

 早朝にグワハティを出発してもう10時間ほどが経っていた。到着したソナリもまた、インドの埃と喧騒と熱波に包まれていた。気を引き締める。そこらのリキシャに「ナガランド」と伝えると、ひとつ頷く。行けるんだ。

 

ついに到着したアッサム・ナガランド州境。ここまでやってきた日本人はわずかばかりであろう