文・写真/室橋裕和

 

 茨城県の西端、古河市。

 埼玉県、栃木県と隣接していて、群馬県との県境もすぐそばという、境界マニアにとっては極めてそそられる自治体である。ちょっと西に行けば「三県境」なる観光スポットもある。埼玉県・栃木県・群馬県の県境が接するポイントで、3県をひとまたぎにできる場所なのだ。僕も当連載の#99「北関東ゴールデントライアングル」で訪れたことがある。このエリアはまさに県境入り乱れる北関東のモザイク地帯といえるのだが、もうひとつの顔も持っている。移民が多いのだ。

 その国籍は多岐にわたる。ネパール、ベトナム、パキスタン、バングラデシュ、インド、中国、ブラジルなど、さまざまな国の人々が暮らしているが、このところ増加しているのはスリランカ人だといわれる。
 そのため古河など茨城県各地、それに千葉県にかけて、スリランカの食材店やレストランも見かけるようになった。JR古河駅から歩いて15分ほどの場所にある『サヴィンコ・スパイス』もそのひとつだ。

日本では珍しいスリランカ食材の宝庫『サヴィンコ・スパイス』

■一番人気はセイロンティー

「日本人にはやっぱり紅茶がよく売れるよ」

 と話すのは店主のダスン・カストゥリさん(50)。店内でも大きなスペースを占めるのは、スリランカ特産のセイロンティーだ。ベーシックなアールグレイが人気だというが、ほかにも変わりダネもいろいろある。マンゴーの果肉やアレンジピールが入った「ロマンス・オブ・セイロン」だとか、マリーゴールドやオレンジ、バラの花びらを加えた「セイロンナイツ」など、豊かな香りを楽しめるものもたくさん。「クリームキャラメル」なんてのもあった。それぞれサンプルが置いてあって、どんな香りなのかを確認してから購入することもできるのが嬉しい。

 ほかにもスリランカ食材が小さな店内にびっしりと並ぶ。スパイスやココナツミルクなどの調味料、味つけされたサバなどの缶詰、マンゴーの漬け物、スリランカ風のカレーペーストやカレーパウダー、バスマティライス……。ショウガやココナツをたっぷり使ったクッキーやビスケット、ポテチなんかもそそられる。お香だとか、ヤシの葉からつくった箒、身体を温めるアーユルヴェーダ・ティーなどなど、旅好きアジア好きにはたまらないラインナップだ。

同じセイロンティーでも産地や香りによってさまざま
調味料や瓶詰の食材がずらりと並び、なかなかに壮観