コロナ禍によって自動車貿易から食材店に転身

 スリランカ最南部マータラ出身のカストゥリさんが、日本に来たのは15年ほど前のことだ。同じくスリランカ人の奥さんがきっかけだった。彼女が日本で留学生として博士課程まで進んでいたのだ。当時、韓国で働いていたカストゥリさんは、奥さんに合流するように日本の地を踏んだ。

「だからもう人生の半分くらい海外ですよ」

 と笑うが、日本ではずっとクルマを手がけてきた。おもにハイブリッドカーの新車を、スリランカなど世界各地に輸出する仕事だ。同業のスリランカ人が、このあたりには多いのだ。

 しかし、2020年頃から風向きが変わりはじめる。スリランカの財政の柱のひとつだった観光業をコロナ禍が直撃し、外貨の流入が滞ったのだ。そして国内にある外貨流出を防ぐため、輸入規制を強化。さまざまな輸入停止品目を設定したのだが、その中に自動車も含まれていたことでカストゥリさんは窮地に陥る。自動車の貿易で商売をしていたのだから、生活の手段を奪われたようなものだ。

 そこで思い切って、食材店に衣替えしてみたというわけだ。「できることは、なんでもやらないと」と笑って言う。輸出入のノウハウがあっての転業なのだろうが、なかなかの苦労はあったはずだ。

 開店してまだ1年だが、コロナ禍による「巣ごもり需要」に加えて、遠方への配送も請け負っており、いまのところ好調だ。近隣に住むスリランカ人だけでなく、日本人も次々にやってくるようになった。スパイスカレーを自作するブームも後押ししているようだ。

「うちのお客さん、80%が日本人だよ」

 と言う。毎日のようにやってくる常連客までいるそうだ。

常連でスリランカ通の日本人が書いてくれたというポップがたくさんあって楽しい
スリランカの個性豊かなお菓子もたくさん