文/チョン・ウンスク

 

 世界を覆うコロナ禍は、1年半以上、人類の身心をむしばんでいる。

 しかし、それ以前から人々を疲弊させてきた競争社会がスローダウンし、文明のスクラップ&ビルドのスピードが少し遅くなったのは不幸中の幸いである。釜山を2年ぶりに歩いて、それを感じた。

 

早朝のチャガルチ市場。カートを引いている人の多くが飲食店の主だろう

店先に並んだ魚の種類が豊富で、秋を感じさせる

 

■コロナ禍と豊漁

 早朝、南港を左手に見ながらチャガルチ市場を西方向に歩く。

 以前、テレビの仕事で女将さんにインタビーした「全州」の屋号を掲げる店が健在でホッとする。ここは2014年の映画『国際市場で逢いましょう』で、主人公ドクス(ファン・ジョンミン)と幼なじみのタルグ(オ・ダルス)が登場する場面に使われた店とよく似ている。釜山の西の馬山出身のファン・ジョンミンと影島出身のオ・ダルスが交わした慶尚南道訛り(釜山訛り)は本物である。

 

映画『国際市場で逢いましょう』には釜山南港に面したこんな店がたびたび登場した

 市場棟の北側一帯では、シャッターを下ろし、「賃貸」の貼り紙がある店が目立つ。コロナの影響だろう。観光客に依存していた店は苦戦しているようだ。

 

目立つ「賃貸」の貼り紙。「薬局優待、権利金なし、42.32平米、トイレあり」

外国人観光客がいなくなった今、中国語や日本語、英語の表記も空しい