30年ほどワインに魅せられて、といいたいところだが、「赤」はガツンと重めか、やや軽めか、「白」は頭に「シャ」がついたら大丈夫(シャルドネ、シャブリ)、ちょっとハレなシーンでは「泡」というくらいな判断と知識で長年、水を飲むような感じで飲んできた。

 若い頃は重めの赤ワインばかり求めていた。30代半ばになり、今度は白ワインをメインに飲みだした。白ワインは和食にも合うし、翌日の体調が赤よりずっと楽だったから。

 40代になり、記憶をなくすブラックアウトが頻繁に起こるので、量を減らして質を重視してみよう、ということで、やっと銘柄やぶどうの種類をチェックして少ない量を丁寧に味わって飲んでみることにトライしてみた。赤も白もとちゃんぽんすると量が増えると思い、真ん中をとって(?)ロゼを主に飲んだり。その後、日本の国産ワインやナチュラルワインとの出会いも。より健康的なイメージもあるし、実際、体調にも悪い影響は少なく、ワインに対して、また新鮮な気持ちで向き合えるようになった。

 で、ワインのセレクトは、そのまま健康志向の方に突き進んでいくかと思いきや、今、一番飲んでいるのは、自宅から20mほど先にある大手チェーン酒屋のカクヤスのワンコインワイン。一本500円。

 はじめは家飲み用に購入していたが、カクヤスのワンコインワイン、イタリアやスペイン産のワインが多いのだが、味がわかりやすくしっかりしていて、間違いなく美味いのだ。以前は、ホームパーティがあれば、普段は遠慮して飲めないちょっとお高いワインを張り切って持参していたものだった。が、今やカクヤスのワンコインワインを2本持っていくように。2本で1100円(税込)! 安くあげて、すみません。

 カクヤスだけでなく、気が付いたら、スーパーやコンビニでも十分美味しく、安いワインがたくさん販売されていた。これは2019年にワインにかかる関税がチリに続いてEUとの間でも撤廃されたおかげが大きいらしい。憧れの欧州ワインもお手頃な価格で手に入るようになり、私のワインを購入する基準がせっかく確立しかかった「健康志向」から、完全「コスパ」になってしまった。

 おしゃべりメインの食事会なんて、そのうち酔っ払ってきて味もよくわからなくなるし、なくなったらまた注いでを繰り返してワンコそばじゃないけど、ワンコワイン状態に。量が必要。とはいえ、人の積算飲酒量という言葉がある。生涯で肝臓がどれだけアルコールを分解したかによって肝硬変のリスクを推測しようと作られた概念。ワインボトル1本分を毎日飲むと男性だと17~18年で、女性だとその約半分で、その許容量に到達するとか。(※以上、諸説あります)。女性は9年⁈ もう遅いかも…汗?だが、一生楽しく飲んでいきたいし、これからは、本気でほどほどにしなくては。

 …と、飲む前はいつもそう思うのだが。飲みだすとそんなことはどこへやら。ついつい話に夢中になって、飛沫を飛ばしながら、今日もワインが進んでしまうのは私だけではないだろう。

 

日本産ワインに目覚めた時に行った「ワインツーリズムやまなし」での山梨県勝沼のぶどう畑。なだらかな丘は歩きやすく、秋晴れで天気も良くて気分爽快。なんか健康的。都内からすぐ行けるし、また行きたい。
勝沼のワイナリーでの試飲(=飲み放題?)。日本産ワインは、ロゼが好み。
南米ウルグアイの赤ワイン、タナ(tannat)は、ブラックベリーなどの黒系果実のアロマが感じられ、重みの中に優美さがあるワインで肉料理との相性は抜群。もっと日本でも手軽に飲めるようになればなあと思う。

 

サバラン昭子

 

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