文・写真/室橋裕和

 

中国東北部の人々が集住する「ガチ中華」の街

 埼玉県の西川口といえば、いまやチャイナタウンとして名高い。JR駅のおもに西側には、数多くの中華料理店や食材店が点在しているのだが、その看板の漢字がぜんぜん読めないあたりがガチである。日本人よりも、中国人客のほうが多いことを窺わせるやってくる人はもう少なく、経済的にやや立ち遅れており、加えて地理的に日本と近く、また歴史的にも日本との関わりが深かった東北部の人々が、いま日本には増えている。

 留学生から始まって、やがて就職し、IT関連などで働くふつうの会社員が中心となっているようだ。で、彼らの職場は東京が多いのだが、都内に住むのは物価がやや高い。そこで荒川を渡って埼玉県に入り、川口市にやってくると、家賃もやや下がる。とくに西川口はその昔、風俗街だったこともあってイメージ的な面でも家賃相場は低めだ。こんな理由から、西川口のチャイナタウン化が進んだ。

 そこにいまは、ベトナム人も急増している。留学生のほか、近隣の工場で働く技能実習生も多い。かつて川口市は映画『キューポラのある街』で描かれたように、製造業のさかんな街だ。いまは都市化・宅地化が進み工業は縮小しつつあるが、それでも地域の主要産業となっている。しかしその現場で進む働き手の不足や高齢化を、外国人が支える。

 ……と、こんな感じで中国・ベトナムのコミュニティが広がっている西川口に、ナゼかポツリと、バングラデシュのレストランがあるのだ。

JR西川口駅の西口から歩いて徒歩10分弱。住宅街の中にいきなり現れる『アジアンレストラン・ビリアーニ』