■分厚く切られた刺身

 都市部ではなく、郊外の海沿いの街などに行くと、漁港に海鮮を扱う店が並んでいることがある。漁港の生簀(いけす)で魚や貝を買い、それをレストランで調理してもらうシステムだ。都市部のレストランよりも新鮮な食材が多く、値段も安いので週末などは家族連れで賑わう。

 冷蔵庫が普及し、物流が発達してからは、刺身も好まれるようになった。かつて、私の元夫(台湾人)の家族が日本を訪れたことがある。刺身店に案内すると、義父が「なぜ刺身がこんなに薄っぺらいのか?」と驚いた。それもそのはず、台湾の刺身は日本の刺身の2倍から3倍の厚みに切ってあるのがふつうだからだ。薄く切られた日本の刺身はさぞ食べごたえがなかったことだろう。

 私は最初、分厚く切られた台湾の刺身に抵抗があったが、濃厚な黒豆醤油(台湾の醤油は黒豆ベースのものが多い)にねっとりしたわさびを添えて食べる刺身は甘みが強く、慣れると悪くない。

基隆の刺身専門店のマグロ、ハマチ、サーモンなど

 コロナが落ち着きつつある今、台湾でも店内での飲食が可能となり、再び海鮮の店に人が戻っていると聞く。数年前の熱炒店なら、賑わう店内では大声を出さないと同席する人の声が聞こえなかったほどだ。皮肉なことに今ならもう少しゆっくり海鮮とお酒を楽しめるかもしれない。

1皿100元(約400円)の魚料理を売りにする熱炒(海鮮炒め)の店。大人数で宴会を楽しめるビアホール風