文と写真/藤井誠二 

 

11月21日 [SUN] 

  

 2015年に韓国の天安(チョナン)市で起きた殺人をもとにしている『悪人伝』(2020)を観ながらフライト。キム・ムヨルという役者を知らなかったのだが、裏社会と手を組む設定の役柄。存在感が抜群にいいと思った。観ていて飽きない演技。モノレールでジュンク堂に寄って森本浩平店長とゆんたくしていたら、そこにパートナーの実家に帰省中の双葉社の箕浦克史さんとばったり。長い間、担当をしてきてもらったが、いまや双葉社のトップクラスの幹部の座にいる。明日、飯でも食べようと約束して別れた。ぼくはそのまま牧志のアーケード街のいつも「米仙」へ深谷慎平さんともろもろ仕事の打ち合わせやら。「おかえりなさい」と板前の於本秀樹さんたちが声をかけてくれる。ジュンク堂でも「米仙」でも、知人何人かとばったり。

 深谷さんから、金秀建設社長の上地千登勢さんのコラム(「沖縄タイムス2021.11.21)を見せてもらった。同僚の酒癖の悪さとセクハラ(具体的なエピードについて触れている)について書いたものだ。沖縄のメジャーな建設会社のトップの女性が「男社会」の悪癖に対するこうした内部告発ともいえる文章を書くのは勇気がいることだと思う。

[(前略)多くの男性は「酔った席でのちょっとした冗談」のつもりかもしれないが、そういう仕打ちを受けると大抵の女性は恐怖で固まってしまう。その場で声を上げられない女性(男性)を見て見ぬをする人は、セクハラの当事者と同罪であると自覚してほしい。]

 浮島通りを歩いていると、餃子が美味い「華」に誰も客がいなかったので入る。ここの責任者の女性は、十数年前から知っていて、向こうもぼくの名前を知っていてくれる。もともと安里の「漢謝園」でフロアを担当していて、餃子が美味くて安かったから、よく一人で喰いに行っていた。

 

11月22日 [MON]

  

 昨夜、「華」で餃子とニンニク炒飯をテイクアウトしてきたのでそれをあたためて朝昼飯にする。ずっとインタビューの文字おこし。おこしながら、いま書き下ろしている単行本の出だしを練る。夕刻、箕浦さんと彼のパートナーといっしょに、前島にある居酒屋「喜作」で飯を喰う。「喜作」は大東寿司で有名だが、やはり大東寿司は美味い。ドゥルワカシーも久々に食べた。箕浦さんの実家はこのすぐ近くなので顔なじみ。パートナーはさきに帰宅したので、箕浦さん行きつけのバー「glam」に歩いて移動。ぼくがたまに利用するレンタカー店の横なのだが、バーだとは気づかなかった。30年前に新潟から移住してきた主人によれば、オープンは21時で閉めるのは朝の9時ぐらいだそう。その時間帯に酒を飲むのは、飲食店を閉めたあとのスタッフたちだ。

 

11月23日 [TUE]

 昼前に深谷慎平君が迎えにきてくれて、永楽蕎麦を食べていたら、ヒップポップグループ「赤土」のクルーDJ四号棟さんがあらわれて久々に挨拶。それから深谷さんの事務所に行って、取材相手からお借りしていた写真をスキャンしてデジタル化。いま沖縄の漁港や砂浜を覆い尽くしている軽石(小笠原諸島の海底火山が百年の一度の爆発を起こしたことによるらしい)を見にいきたいと言ったら深谷さんが浦添のカーミージーへ見に行きましょうとのってくれた。沖縄に残されたほとんど唯一といってもいい天然ビーチ。数日前はその付近に軽石が押し寄せ、灰色の海と化していたらしいが、いまはその残りがわずかに海面を漂い、岸に打ち上げられていた。風の向きなどによって移動していくのだな。夕刻、知人と安里の「鶴干」で合流してある相談。「鳳凰餃子」にも河岸を変えて紹興酒を飲む。両店とも美味いが、このお二方(50代男女)、大食漢だなあと感心しきり。

 

11月24日 [WED] 

 野菜サラダとレトルトのビーフシチューで朝昼飯を食べたあと、夕刻までインタビューの文字おこし。資料と突き合わせながらの作業なのでのろのろとしか進まない。夕方に牧志である方にインタビュー。彼の人生を聞く。長年、取材をお願いしてきた方なので感無量。ただし匿名が条件。街中のオープンエアのカフェ。インタビュー中に、閉店した惣菜屋さんのおばあさんたちが売れ残った惣菜や、野菜を安く買ってくれと販売して回ってきた。それらを買い込んで晩飯にした。揚げ豆腐が美味かった。