文と写真/サラーム海上
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30年で30回以上もトルコに通う筆者がNo.1に選んだ朝食は「エーゲ海の可愛い町」の10点満点の宿だった【旅とメイハネと音楽と vol.90「トルコ・エーゲ海地方アラチャトゥの旅〈1〉」】サラーム海上
野外市場とレストラン『ファヴァ』
2019年6月29日土曜正午、僕はトルコエーゲ海沿岸の町アラチャトゥの宿ヴィラ・タラチャ・アラチャトゥ・ロマンティック・オテルで最高の朝食(連載#90)をいただき、すっかり満足していた。このまま宿にとどまって、午後はプールで泳いで、夜まで敷地から出ずに過ごしてもいいかも? いや、ダメだ。毎週土曜の朝から午後まで、アラチャトゥ旧市街の路上で野外市場が開かれるのだ。週に一度のチャンスをみすみす逃す訳にいかない!
3時間以上も居座った朝食の席から重い腰を上げ、宿の送迎車に乗せてもらい、アラチャトゥの野外市場へ向かった。5分ほどのドライブで旧市街の南側にあるだだっ広い駐車場で車から降ろされると、目の前には数十の屋台のテントが張り巡らされていた。いいぞ~! 野外市場ってワクワクするなあ!
だが、眼の前の屋台に並んでいたのはTシャツや半ズボン、タンクトップ、ムスリムの女性用の全身を隠す黒服など、ダサくて庶民的な衣類ばかり。屋台の間の細道を北に進むと、今度はスーツケースや大型鞄など旅行用品の屋台、更にスマホの充電器や電化製品、オヤジが萌える工具類、名物のオリーブ石鹸や化粧品などの日用品の屋台が延々と続いていた。4~5分歩き進んでみたものの、僕のお目当ての野菜や食材の屋台がちっとも見当たらない。しかも気温は35℃以上、市場は行き交う人々の熱気でムンムンで、これ以上歩くと生命の危険が……、もしかしたらここは日用品だけの野外市場なのかも? いや、そんなはずはない?
「八百屋はどこですか?」屋台の間に建つチャイ屋のアニキに尋ねると「この道の奥」との返事。なるほど、アラチャトゥの旧市街自体は小さいのに、野外市場は意外と大規模らしい。駐車場から10分ほど歩いて、小さなモスクに面した広場を右に折れると、初めて色とりどりの野菜と果物が目に飛び込んできた。
これですよ! 僕が観たかったのは!



