文と写真/カワノアユミ

 

日本には様々な横丁がある。表通りから少し逸れた道に入ると並ぶ小さな看板の数々。ノスタルジックな赤ちょうちんやスナックが並ぶ”昭和横丁”から、バブル崩壊以降は寂れた趣の”平成横丁”。今どきの若者に人気の渋谷や恵比寿にある”令和横丁”まで、横丁にはその街の歴史が詰まっている。その空気に惹きつけられるかのように、今日も日本のどこかの横丁で呑んだくれる女が1人……。これは、元底辺キャバ嬢カワノアユミが織りなす横丁探訪記である。。

 

大阪のリトルオキナワ

 大阪市大正区は沖縄出身者が多い。第一次世界大戦後、深刻な不況と食糧不足にあった沖縄では、海外移民や日本本土に出稼に行く人が多くいた。当時、大阪では紡績産業が勃興期を迎えており、中でも工場が多い大正区には沖縄から多くの人が出稼ぎにやってきた。その後、大正には移住した沖縄人の集住地区が形成されていった。

 大正区には現在も、数多くの沖縄料理屋や物産店が残っている。昔ながらの食堂が多いのは平尾本通商店街(通称:サンクス平尾)だが、今回はJR環状線の大正駅にやってきた。電車を降りるとすぐに聞こえてくるのが沖縄民謡の「てぃんさぐぬ花」。大阪環状線は電車の発車メロディーが駅ごとによって違い、大正駅では沖縄文化の色濃いイメージにちなんでこのメロディーになっている。

 駅周辺や高架下に点在する沖縄料理屋は、ここ10年間で急増したという。平尾が元祖沖縄地区だとしたら大正駅周辺は古い店と新しい店が融合した「ネオ沖縄横丁」といったところだろう。筆者は沖縄に2003年からほぼ毎年訪れており、一時は仕事をしながら長期滞在していたこともある。コロナ禍に入ってから出張でも行ったが、時短営業中で飲みに行くことができなかった。今回は、そのときできなかった沖縄気分を味わいに大正までやってきたのだ。