一年の疲れを落としに出かけた一泊二日のご褒美テルメ旅で、思いがけない出会いに恵まれた私たち。偶然泊まったホテルのオーナーで、テルメに人生の全てを賭けた情熱的なジャンカルロ氏とのおしゃべりは、ただ単に「温泉でぼーっとしたい」という目的でやってきた私たちのテルメに対する見方をガラッと変えてしまった。前夜に拝聴したジャンカルロ氏の「テルメ&サトゥルニア講座」でちょっとだけテルメ通になった私たちは、翌日も朝からテルメ三昧の時間を楽しんだ。

 

湧き出たばかりの一番風呂とマッサージで朝から極楽気分

 翌朝はゆっくり起き出し、ブッフェの朝食を摂りに食堂へ行った。手作りのタルトやりんごのケーキ、焼き立てのクロワッサン、シリアルに加え、マレンマ特産のフレッシュなリコッタチーズや果物などが並んだ朝食のブッフェは、見ているだけでも頰が緩んでくる。窓辺の席で熱いカフェとクロワッサンを味わいながら、朝靄に立ち上るプールの湯気を眺める。「9時から入れますよ」とのことだったので、それまでに朝食を済ませてゆっくり一番風呂に入ることにした。
   朝食を終えると早速部屋に戻って水着に着替え、プールへと向かった。昨夜は暗くてよく見えなかったのだが、プールの下には滝湯とジャグジー、サウナもあるとジャンカルロさんが言っていたので、今朝はそこからぐるっと巡ってみることにした。

 

   朝陽を浴びながら、湧き出たばかりの熱い温泉に頭から打たれる。ああ、なんて爽快な気分! 昨夜の「テルメ講座」で知ったのだが、今私が浴びているお湯は、太古の昔から気の遠くなるような時を隔て、現代の私たちの元へと湧き出てきた温泉水。その温かな湯に身を浸し、硫黄の香りがする蒸気をいっぱいに吸い込むだけで、身も心も生まれ変わったような気持ちになってくる。テルメで生まれ変わった後は、ホテル内のスパでマッサージ。これぞまさしく「自分へのご褒美」にふさわしい。至福の時間はあっという間に過ぎ、チェックアウトの時間がやって来てしまった。「帰りたくない〜、延泊したい〜」と嘆く親友をなだめ、とても親切にしてくださったジャンカルロさんと奥様に別れを告げて車に乗り込む。私も、帰りたくない。糸杉の並木道から門を出るまで、後ろ髪を引かれっぱなしでホテルを後にした。

 

地元の新鮮な食材と手作りの甘い焼き菓子が並ぶ朝食のブッフェ(上)。プールから流れ落ちる滝は打たせ湯になっている。隣にはジャグジーも完備(中)。朝陽を浴びながら入る一番風呂は、極楽気分を味わえる(下)