人が動けば一気に感染拡大、人が止まれば経済が逼迫ー。新型コロナウイルスに思いきり翻弄され続けた2020年が、もうすぐ終わろうとしている。イタリアの感染状況は一時的に落ち着いているものの、このクリスマス休暇中の動き次第で更なる悪化が懸念されている。そのため、18日に新たな首相令が発表され、24日から1月6日までの期間は実質的なロックダウンが再び施行されることとなった。今春イタリアを直撃した新型コロナウイルスの感染爆発により、それまでの社会生活や価値観、果ては個々人の生き方まで、ありとあらゆる変化を余儀なくされたこの一年。まだまだこの騒ぎは当分続きそうな気配だが、連日飛び交う真偽ごちゃ混ぜの情報を追うだけの生活など、もうまっぴらごめん!という気持ちになってきた。この間の我と我が身を振り返ってみると、コロナ禍を生き抜く上で最も大切だと実感したのは「冷静さと思いやり」である。辛いこと、悲しいこと、不安なことが身の回りに溢れかえっている日常で、自分の心の拠り所を毎日模索しながらたどり着いた結論がそれだった。家族も友達も、こうして健康でクリスマスと新年を迎えられる。それこそが何よりも尊いものであるということを、この一年が教えてくれた。
 クリスマス期間のロックダウンを前に、万感の思いを抱きながらローマの旧市街を歩いた。華やかで厳かな金色のイルミネーションに満たされたローマはやっぱり美しく、この一年の厄を洗い流してもらったような気分になった。世界中が不安と悲しみに包まれている今、ほんの一瞬の慰めにでもなればと願いつつ、ローマのX’masライトアップの数々をスポット別にご紹介したい。

 

Spot1 : サン・ピエトロ広場

 毎年クリスマス・シーズンに登場するサン・ピエトロ広場の巨大ツリーとプレゼピオ。今年のツリーはスロヴェニアの古代の森からやってきた28メートルの大木。スロヴェニアでも最古といわれる古代の原始ブナ林がある森は、ユネスコの世界遺産リストにも登録されているという。深い森の奥から遠路はるばるサン・ピエトロ広場までやってきた木は、ローマの街に深遠な古代の森の癒しの息吹をもたらしてくれている。それはパンデミックで深く傷つき、苦しんでいる人々のために、ヴァチカンから発せられたメッセージでもあるように感じた。

 

薄暮の中、ライトをまとった巨大ツリーが輝き始めた。ツリーの隣にはキリスト生誕のシーンを人形で再現したカトリックのクリスマスの飾り「プレゼピオ」も置かれている(上)。
サン・ピエトロ広場の一角では、イタリア各地から集められたプレゼピオの展覧会も開かれている。
『赤十字』のテントの下で身を寄せ合う聖家族のプレゼピオは今年のイタリアを象徴している(上)。誰もない広大なサン・ピエトロ広場に一人で佇み、復活祭のミサを行ったローマ法王の姿を再現したプレゼピオも印象的だった(下)。