定員になるまでバスの中で待機すること30分。行き先不明のまま、バスは静かに羽田空港を後に走り出した。いったいどこへ行くのだろう、宿泊先の施設はどんな所だろうとドキドキしながら車窓を覗く。バスが高速に入ると、緑の標識を読まずにはいられなくなってきた。カーブを曲がるたび、窓から標識を見上げて行き先の文字を読み取ろうと必死になる。しばらくして、どうやら私のバスは横浜方面へ向かっているらしいことがわかってきた。湾岸をぐるりと走り、30分ほどでベイサイドのホテルの地下駐車場に到着。正面ロビーではなく地下の駐車場から専用の入口を抜けてホテル内へ、数人ずつに分かれて誘導された。さらに30分ほどバスの中で待ち、ようやくチェックインを済ませてお弁当をもらいホテルの客室へ。羽田到着からホテルの部屋に入るまで、約5時間を要した。これまでに読んだ体験談と比較すると、かなり早く済んだ方だと思う。
 

行動は全て数人ずつの小グループに分けられて誘導されるので、ホテルに到着してからもバスの中でじっと待機しなければならない。一つ一つの手続きはシンプルなのだが、とにかくどこへ行っても「待ち時間」がある。

 ホテルの部屋に入って何より嬉しかったのは、マスクを外せたこと。ローマの自宅を出てからこの瞬間まで、実に28時間マスクをつけっぱなしだったのだ。機内で何度か新しいマスクに変えたり、食事をする時以外はずっとマスクを着けていたので耳の後ろが擦りむけて真っ赤になっていた。ほっとして窓にかかったカーテンを開けると、目の前に横浜みなとみらいの大パノラマが広がっていた。左へ目を向けると富士山がくっきり見える。客室は狭いが機能的に作られており、不便は感じない。気が抜けたら一気に眠気が襲ってきた。いただいたお弁当を平らげると、ベッドに倒れ込んで夕方までぐっすり眠った。  

(*後編へ続く)

 

6日間の隔離生活のベースとなったのは、アパホテル横浜ベイタワー。部屋は狭いが必要なものは全てそろっている上、窓からは富士山とみなとみらいの美しい夜景も楽しめる。どうやらホテルガチャで「当たり」を引いたようだ。

 

最初の隔離メシ。パリパリ海苔のおにぎりを食べるのは3年ぶりくらい。久しぶりの和食の「お弁当」に感動したが、満腹になった直後に気絶してしまった。