写真・仲程長治 文・シマネコキネマ

奥武島(おうじま)は、沖縄本島の南部にある小さな島。島といっても本島と橋でつながっていて、地元ではスク漁やトビイカの天日干しが夏の風物詩として、観光客には海産物のてんぷらが名物の島としてよく知られている。車で周ればわずか5分程の島内には行列の絶えないてんぷら屋や海産物料理店などがあり、その周囲でたくさんの島猫たちに出会うことができる。


日本の一般的なてんぷらとは違って、沖縄のてんぷらにはぽってりとした衣がついている。てんぷらの具材は魚、イカ、もずくといった島の海産物が定番だが、そうした美味しい部分は人間がいただくので、猫たちにお裾分けされるのは、油をたっぷり吸って膨らんだ衣の部分が多い。

化け猫が行灯の油を舐めている姿は日本の怪談でもお馴染みだが、元来、猫は油好きで、本能的に油を求めることがあるらしい。猫の健康にとってどうかはさておき、この島の猫たちは人間のアンダー(足元)で、アンダ(沖縄の方言で油のこと)をおねだりしているわけだ。
