写真・仲程長治 文・シマネコキネマ 

那覇マチグヮーの商品陳列台は、しばしば島の寝場所になる

 市民の胃袋にして、沖縄を代表する観光スポットでもある那覇の公設市場、通称マチグヮー。牧志第一公設市場を中心に市場本通り、むつみ橋通り、平和通りなどのアーケード街が広がり、さらにその間を縫うようにして、蜘蛛の巣のごとくスージグヮー(筋道)が張り巡らされている。まさに迷宮と呼ぶにふさわしいこの界隈を、人間とは違う目線で知り尽くしているのが島猫たちだ。

 

アーケード街には人も車も通るが、いちばん我がもの顔なのは島猫たちだ
アーケードの屋根の上にも島猫たちの通り道があり、昼寝をする姿もよく見られる

 人間たちはこの界隈を3Dで見ているのだが、島猫たちは(たぶん)4D感覚で暮らしている(と思う)。市場界隈にある、我がシマネコキネマの事務所にも通い猫がいるのだが、彼らは半径100mくらいのテリトリーの中にいくつもの餌場となる店を持っていて、店ごとに違ういくつもの呼び名を持ち、堂々と渡り歩いている。

 人間には絶対に通れないビルとビルとの間の路地や、アーケードの屋根の上も彼らの通り道であり、その中に「あの世」につながる異次元ポケットや「どこでもドア」があったとしても何の不思議もない。

 

シマネコキネマの事務所裏口に週1ペースで通い、無言でエサを要求するキジ猫様
この猫が角を曲がった途端にすっと消えても、なんだか納得してしまう雰囲気がある

 市場には食べ物を扱う店が多いので、ここで暮らす島猫たちも満ち足りていることが多い。店主に飼われて看板猫になれば、そのニャン生は空腹とは縁のないので、店先での昼寝が主な仕事となる。陳列台の上でのんびりと島猫が昼寝している風景は、那覇のマチグヮーの風物詩とも言えるだろう。

 シンボルでもある牧志第一公設市場が老朽化による建て替えで、6月30日をもって今の姿での営業は終了となる。建て替える際には、目には見えない島猫たちの四次元ポケットも、そのまま移設していただきたい。

【琉球島猫百景 vol.23】(2019.5.23)

この界隈でおそらく最も有名な「嘉数タオル店」のミーちゃん店長。仕事は寝ること
店の看板猫たちは市場の風景に完全に溶け込み、日中は昼寝を決め込んでいる
味噌桶の間に島猫がいたりするのが、那覇マチグヮーの日常的な風景だ