文と写真/田島麻美

 

イタリアにはお正月はあるの?」という質問をよく受けるのだが、イタリアでは12月24〜26日が日本の三が日のようなもので、新年は1月1日のみが祝日。お店やレストランなどは2日から通常営業しているところがほとんどだ。日本のようにクリスマスが終わるとツリーが消えて松飾りが登場するということもなく、1月6日まではツリーもプレゼーぺもそのまま飾られているので、この時期に日本から来たツーリストにとっては「なんだか新年を迎えた気がしない」かもしれない。しかしながら、イタリアの年末年始の風習の中にはどこか日本のそれと似通っているものもある。今回は、ローマの年末年始の風物詩の数々をご紹介しよう。
 

*本記事は2018年1月に「tabilista」で掲載したものです。

 

花火・爆竹・レンズ豆で年越し

 大晦日の夜は「チェノーネ」と呼ばれる大夕食会が開かれる習慣があり、レストランなどでも食べきれないほどのボリュームと数の料理が用意され、大いに食べて飲んでにぎやかに新年を迎える。このチェノーネは一般家庭でも同様で、家族や友達とゆっくり時間をかけて夕飯の食卓を囲み、ワインを片手におしゃべりやダンス、ゲームなどをしながらカウントダウンの瞬間を待つ。

 チェノーネの定番メニューは『レンズ豆の煮込みと豚足』。私が初めてイタリアで年越しをした時、「レンズ豆はお金を意味するのよ。新しい年がお金にたくさん恵まれますように、という願いを込めてこの豆を食べて年越しをするの」とイタリア人の友達に教えてもらった。日本でもお正月にはお豆を食べるよ、と言いながらレンズ豆を一口食べて吹き出した。「煮豆は甘い」と思い込んでいたが、レンズ豆は甘くないどころか塩っ辛くて、一緒に出された「コテキーノ」という豚足型のサラミはコテコテの脂身がたっぷり。夜中に食べるにはかなりヘビーなメニューだ。

 カウントダウンが近づくと、住宅街も旧市街も、爆竹のはじける音と煙で騒然となる。あまりにうるさいのでテレビの音が聞こえず、肝心の「カウントダウン」の時間がわからない、ということもよく起こる。住宅街のベランダから花火を打ち上げたり、ロケット花火が家々の間を飛び交うなんて恐ろしいことも昔はよくあったらしい。近年では花火による事故を防ぐため、「大晦日の花火・爆竹の自粛や規制」が呼びかけられているが、それでもやはり「花火で新年を迎える」という習慣は根強く、手持ち花火とシャンパンを片手にベランダに出て、大声でカウントダウンをする人々が今年も大半を占めた。

 







イタリアの家庭で作られる「レンズ豆と豚足サラミ」は大晦日の定番メニュー。調理方法や材料は家庭ごとに微妙に異なるが、レンズ豆とソーセージ、コテキーノやザンポーネと呼ばれる豚足型のサラミなどカロリーたっぷりの肉類と合わせる(上2点)。コロッセオ、フォロ・ロマーノ、ヴェネツィア広場でのカウントダウン風景。大勢の人々が花火やシャンパンを持って街へ繰り出し、遺跡と花火を眺めながら新年を迎えた(下2点)。その他、チルコマッシモで多数のアーティストが参加した年越し無料コンサートなども開かれた。

イタリアの家庭で作られる「レンズ豆と豚足サラミ」は大晦日の定番メニュー。調理方法や材料は家庭ごとに微妙に異なるが、レンズ豆とソーセージ、コテキーノやザンポーネと呼ばれる豚足型のサラミなどカロリーたっぷりの肉類と合わせる(上2点)。コロッセオ、フォロ・ロマーノ、ヴェネツィア広場でのカウントダウン風景。大勢の人々が花火やシャンパンを持って街へ繰り出し、遺跡と花火を眺めながら新年を迎えた(下2点)。その他、チルコマッシモで多数のアーティストが参加した年越し無料コンサートなども開かれた。