2022年、年明け。東京では4年ぶりの大雪となった。今年の冬は大寒波といわれているが、そんな時期に食べたくなるのが鍋である。各地で大雪が降った1月上旬、筆者はタイバンコクにいた。バンコクの気温は30度。日本人からすれば十分暑く感じると思うが、最高気温が35度となるタイ人にとっては涼しいとすら感じるという。

 南国のタイで鍋料理のイメージがわかないという人も多いと思うが、鍋料理はいくつかある。平鍋に湯を沸かし、肉や野菜、魚介、肉団子などを煮てタレにつけて食べるタイスキ、中央が盛り上がった鉄板の上で肉を焼き周りの鍋の部分にスープを入れて野菜を煮るムーガタなど。どれも日本人好みの味付けだが、特に涼しくなる季節に食べたくなるのがチムチュムだ。

 チムチュムとはタイのイサーン地方(東北部)の郷土料理で、素焼きの小ぶりの土鍋を炭火で熱し、レモングラスなどハーブを効かせた鶏ガラベースのスープに肉や野菜、魚介を煮た鍋料理。現地では外の屋台で汗を流しながら食べるのがお決まりだ。ローカル屋台に行くとメニューがタイ語のものしかないことが多いが、「チムチュム」と注文すればセットで出てくる。肉は牛肉か豚肉かで選べるが、タイの牛肉は硬いので豚肉(ムー)がおすすめだ。

 スープが入った土鍋の中に、まずはハーブをたっぷり入れる。ハーブには青唐辛子が入っていることもあるので辛いのが苦手な人は抜いておこう。レモングラスはお好みで量を調整して入れるとよいだろう。スープが沸騰したら肉を入れる。チムチュムを頼むと肉と一緒に生卵がついてくる。タイ人は肉を柔らかくするために生卵と和えて食べるのだが、鍋に直接溶いてもよい。肉と和えるときは肉汁をしっかり捨てるようにしよう。鍋に肉を入れたら野菜や魚介を入れ、蓋をしてじっくりと煮る。肉にはホルモンも入っているので、しっかりと火を通すために最低でも10分は煮る。

 ほどよく煮えてきたら、火が通りやすい野菜や海老から食べる。チムチュムのタレは唐辛子、にんにく、香草が効いたピリ辛タレと甘辛タレの2種類。鶏ガラベースのスープが美味しいので、スープを器にとり、ナンプラーと甘辛タレを少し入れるのが個人的におすすめだ。具材が少なくなってきたら、春雨を入れてスープをたっぷりと吸わせて食べるのもよし、カオニャオ(もち米)を入れておじやにするのもよいだろう。

 現地に行かないとなかなか食べられないチムチュムだが、日本でも食べられる方法がある。カルディで売っている「チムチュムセット」は、乾燥ハーブやスープペースト、さらにイサーンソースや春雨、煎り米がセットになっており自宅で本格的なチムチュムを作ることができる。入れる野菜はお好みでよいが、タイ人に聞いたところ、豚肩ロース、パクチー、白菜または空芯菜、セロリ、えのきは欠かせないという。パクチーがない場合は同じくカルディのフリーズドライタイプのパクチーを入れるとよいだろう。

 タイ旅行どころか外食も難しい今の時期だが、自宅でチムチュム鍋を作って本場の屋台気分を味わってみてはいかがでしょう。

 

タイのイサーン料理鍋チムチュム

鉄鍋のチムチュム。土鍋よりも火が通りやすい