文・写真/下川裕治

 

 新型コロナウイルスは、なかなかその先行きが見えない。大きな流れでいえば、弱毒化の道を進んでいるが、それはウイルスの時間軸であって、かかわる人間のそれとは違う。人間のほうが10倍? いや100倍? ……早い。この時間の齟齬を人は埋められない。いたずらに焦り、必要以上に警戒し、ときに鈍感を装う。

 日本人はいま、オミクロン株に辟易としている。そして多くの日本人が、世界の国々も、同じようにオミクロン株に苦労していると思っている。

 昨年の11月から12月にかけ、世界を一周した。オミクロン株の感染拡大がはじまっている時期だった。そのなかを歩いた。そこで味わったものは、世界の人々のウイルスに対する感覚の違いだった。

 まわった国は、タイトルコギリシャ、メキシコである。途中、トランジットでフランクフルトとバンクーバーに寄っている。

 隔離があり、入国時にPCR検査の陰性証明が必要だった国はタイだけだった。トルコ、ギリシャ、メキシコは隔離がなく、ワクチンを接種していればPCR検査の必要もなかった。そういう国を選んでの世界一周だったのだが。

 タイの隔離といっても1日だけだった。いちばん長い隔離とPCR検査が必要だったのは帰国時の日本だった。14日間の自主隔離が待っていた。

 そういうと、世界のなかで日本がとりわけ厳しいウイルス対策をとっているように思うかもしれない。しかし違った。世界を一周して、それがよくわかった。