文・光瀬憲子

 

■なにかと便利な台北駅前に泊まる

 北は馬祖列島から南は墾丁まで、台湾各地を食べ歩くようになって、あらためて台北駅の大切さに気づいた。台北駅は日本で言えば東京駅のように、地下鉄、在来線(台鐵)、高速鉄道(高鐵)などの路線に加えて長距離バスのターミナルもある交通の要衝だ。にぎやかでオシャレなエリアは台北東部に移ったけれど、やっぱり台北駅の重要性は変わらない。

 そんな台北駅とほぼ直結した便利な場所に「NiHao@台北」というドミトリーがある。ここ数年、台北のドミの発展が目覚ましい。中国本土からの旅行客が増大し、ホテルの供給が間に合わず、宿泊費も高騰したため、台北市内にルームシェア型のドミが急増したのだ。

 そのなかでも大きな雑居ビルの中にあるNiHao@台北は、台北駅のM3出口からわずか50メートルというすばらしい立地。雨に濡れずに軒下を通って台北駅まで辿り着けるし、台北駅から台湾全土どこへでも向かうことができる。市内をめぐるならMRTにひょいと飛び乗ればいい。郊外へ足をのばすなら在来線でのんびり出かける。滞在期間が短ければ高速鉄道でサッと地方都市まで移動。旅費を惜しむなら長距離バスで一気に目的地まで。どう動くにしても最高の立地なのだ。

 なれてしまえばドミ滞在は快適だ。共有スペースのラウンジ(写真)ではコーヒーが無料で飲めるし、積極的に話しかければ外国人の友達もできる。1泊2000円台で泊まれるので旅費の節約にもなる。

 

 ドミは一部屋にベッドが5~6台といったところ。大きなスーツケースはベッドに固定できるよう施錠用の鍵を持っていくといい。室内で使うスリッパやタオル、歯ブラシなどの備品は持参する。音が気になる人は耳栓を用意する。その程度の工夫で、ドミ暮らしはぐっと楽しくなる。

 

■地元の人たちに人気の水餃子

 このNiHao@台北から駅とは反対方向へ数メートル歩いて路地を左折すると、右手に人気の餃子店「豪季水餃專賣店(ハオジースエジャオジュアンマイデェン)」がある。台北駅のすぐ近くなのに観光客の目に留まらないのは、何の変哲もない路地裏の食堂に見えるからだろうか。だが、この界隈の会社員には定評のある店だ。店は台湾の飲食店としてはかなりきれいなほう。

 昼時はほぼ満席なので相席も覚悟しよう。この店の目玉はもちろん水餃子。台湾では餃子といえば水餃子が一般的。日本のような焼き餃子は「鍋貼」という名前が付いていて、水餃子店では扱っていないのが普通だ。

 『豪季』の水餃子は10個で70元(約260円)。10個も食べればタンパク質と炭水化物を十分に摂れる。白い皿に並んだ水餃子は皮が厚く、つまみ上げようとするとツルンと箸から逃げる。なんとかつかまえて口に運ぶと、皮はほのかに甘みがあり、中からジュワッと肉汁たっぷりの新鮮な豚肉が顔を出す。至福のランチ、正統派の水餃子だ。



 さらに、水餃子専売店と謳いながらも見逃せないのが乾麺。なかでも汁なしの太麺にそぼろ肉のソースとキュウリの千切りが載った炸醬麵(ザージャンミェン)は絶品。コシのある麺は四国のさぬきうどんを思わせる。ツルンとしているが、少し縮れているので甘辛いひき肉ソースがよく絡む。たっぷりと添えられたキュウリはまた爽やかで、歯ごたえもいい。